一般社団法人HAPSは、2012年12月より、京都を拠点に活動をしていく若手アーティストのために、小学校跡地を利用した制作スタジオを提供しております。
この度、前使用者の退去に伴い、元楽只小学校(京都市北区)を活用した複合施設「ふれあい共生館」内のスタジオ5室を活用して創作活動を行うアーティストを公募し、総計23組からご応募をいただきました。いずれの応募者も作品の質・活用の意欲共に高いレベルを達成しており、創作場所の支援というニーズが依然として高いことをうかがわせる募集となりました。
HAPS実行委員会メンバー並びにHAPS事務局による厳正な検討および面接を行い、審査の結果、新規使用者5組を決定しましたので、お知らせいたします。
【審査結果について】
今回、新たに5組のアーティストを迎え入れました。
HAPSスタジオの特徴を活かし、その効果を最大限発揮してくれそうな表現者たちが集ったと感じています。
各自のメディウムや方向性は異なりますが、美術にできること・なすべきことに誠実に、真摯に向き合って制作に励んでもらえるのではないかと期待しています。
世界がどうあれ、世の中がどうあれ、「つくる」という基本的な営みの重要性や尊さは変わりません。
HAPSスタジオが、少しでも、その大事な拠り所になれれば望外の喜びです。
-遠藤水城(HAPS代表)
【新使用者一覧】
⒈ おおしまたくろう
サウンドマン。PLAY A DAYをモットーに、日常の道具を改変した楽器の制作と、それらを組み合わせた少し不思議な音楽活動を行う。音楽や楽器の名を借りた遊びやユーモアによって社会をマッサージする。
音の実験ワークショップ「SOUNDやろうぜ」主宰。近作にスケートボードとエレキギターを合体させて街のカタチを演走する「滑琴(かっきん)」、耳型マイクを身につけた2人の奏者の動きを作曲する「擬似耳人(ぎじじじん)」など。
⒉ 澤田 華(さわだ はな)
1990年京都府生まれ。2016年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了。近年の主な展覧会に、「吹けば風」(豊田市美術館/2023年)、「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館/2022年)、「避雷針と顛末」(Gallery PARC / 2022年)、「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」(広島市現代美術館/ 2020年)など。
⒊ HABURI(ハブリ)
1992年中華人民共和国内モンゴル自治区⽣まれ。中国の改⾰開放後期の「ひとりっ⼦政策」下で育ち、内モンゴルで美術の基礎教育を受けた。2016年に⽇本に移住して以降、留学⽣として東京に5年間滞在。2020年東京藝術⼤学美術研究科油画科修⼠課程修了。 2021年に京都へ移住したことで、⾃身の⽂化的アイデンティティを再認識し、現在は⼯芸や⼿仕事の実践を通じて、国家の概念や政治教育・歴史・イデオロギーや、少数⺠族の伝統が個⼈の感情や思考をどのように形成するのかを探っている。
⒋ 村上 美樹(むらかみ みき)
1994年秋田生まれ、京都拠点。京都市立芸術大学大学院修士課程彫刻専攻修了。自分自身や他者の個人的な経験や記憶に焦点を当て、それらの忘却や物の廃棄に対する抵抗と愛着を重要な要素としながら展示空間に構成することで、鑑賞者と相互作用が起こり、体験が拡張される「記憶の場」となるような作品の制作、発表を行う。
https://murakamimiki.com/
5. 陸瑋妮(LU WEINI)+上田佳奈+六根由里香
陸 瑋妮(LU WEINI) 1990年台湾台北出身。台北実践大学建築設計専攻卒業後に来日し、2019年に京都市立芸術大学院絵画科版画専攻を修了。プリンティングやアートブックなどの制作を行い、コピーとエラーの繰り返しで生まれる新しい風景の平面作品を制作。
上田 佳奈(うえだ かな)兵庫県生まれ。ロンドン芸術大学Central Saint Martinsでファッション、大阪芸術大学附属大阪美術専門学校で版画を学ぶ。日々の些細な出来事や痕跡を採集し、版画、写真、映像などを用いて「うつし取る」ことで、日常を新たな視点から再解釈する手がかりとなる作品を制作する。
六根 由里香(ろっこん ゆりか)1995年大阪府生まれ。2021年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程版画領域修了。周囲にあるモノが咄嗟に目の端に飛び込んでくる経験をチャンスイメージと見なし、リトグラフやシルクスクリーンなどの版画技法を用いてイメージの諸相を再提示する作品を制作する。
【HAPS制作スタジオについて】
スタジオ:普通教室(約65㎡)5 室/大型室1室(約88㎡)
所在地:〒603-8226京都市北区紫野西舟岡町2「ふれあい共生館」北館2、3階
アクセス:京都市営バス「千本北大路」より徒歩2分
現使用者(継続):八幡亜樹(やはた あき)
【元楽只小学校跡地を活用した複合施設(愛称:ふれあい共生館)について】
京都市では、楽只小学校と紫野小学校の統合に伴い、2019年3月に閉校した元楽只小学校の跡地活用について、楽只学区社会福祉協議会など地域からの要望を受け、検討、協議を重ねた結果、「子育て・人権・文化芸術の拠点」として、複合施設を整備することとしました。楽只学区全体のまちづくりの観点から、北いきいき市民活動センター、ツラッティ千本、京都市楽只児童館、京都市楽只保育所を移転整備するととともに、元新道小学校から、HAPSスタジオおよび天才アートKYOTOアトリエが移転し、「ふれあい共生館」として開設されました。