ALLNIGHT HAPS 2020「翻訳するディスタンシング」

アーティストの佃七緒による企画「翻訳するディスタンシング」は、人と人が接触するとき、作品と人が接触するときに発生する「翻訳」について、実際に作家と企画者、翻訳者が共同で行うことで再考を試みるものです。
作家は、作品や自身の活動についてのテキストをしばしば執筆します。そしてそれは多くの場合、データとして参照される際の必要性から、現代美術のデファクトスタンダードである英語に翻訳されます。佃は、そうしたテキストを「翻訳」したい作家を広く公募し、必ずしも美術を専門としない第三者を介入させ、約半年に渡る対話を行います。これにより、今回の「翻訳」には、単なる言語上の変換だけでない、第三者へ真意を伝えるための自己分析と対話の必要性が発生します。他者を介した「翻訳」により、作家が何をどのように鑑賞者へ提示しようとしていたのかが明らかになることで、作品そのものにも新たな息吹が吹き込まれることでしょう。

概要

ALLNIGHT HAPS 2020「翻訳するディスタンシング」

プロジェクト期間:2020年7月~12月(翻訳のための対話)/2021年1月~3月(HAPSギャラリー展示)
企画:佃七緒
出展者:小出麻代/小林太陽/西尾佳織/長谷川由貴/村上美樹
展示時間:18:00〜9:30(翌日朝)
会場:HAPSオフィス1F(京都市東山区大和大路通五条上る山崎町339)
主催:一般社団法人HAPS
支援:2020年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
助成:公益財団法人 朝日新聞文化財団/アーツサポート関西

「翻訳するディスタンシング」特設ページ:https://allnighthaps2020.o0o0.jp

企画趣旨

ALLNIGHT HAPS 2020の企画として、作家と翻訳に関するプロジェクトを行います。

「翻訳」という言葉は、単に一つの言語から別の言語に言葉を置き換えることだけを指しません。人と人とが接触するとき、国・文化・人種・分野・システム・考え・身体・色・形、など色々なものを超えてやりとりが生じます。呼びかけた人、呼びかけられた人は、互いに、誤解や誤訳も生じさせながら「翻訳」をたえず繰り返します。作品と鑑賞者の間でも、同様の接触・翻訳が生じていると思います。

この企画では、作家のテキストを母語から別の言語に変える、いわゆる翻訳を、作品制作を専門としない人との対話を通して試みます。作家それぞれの作品制作において、どこまで・どのような言語化が必要なのか、発表する際には、それをどこまで・どのように鑑賞者に提示するのか。日々使ってきた言葉の幅を、既存の枠になんとなく嵌めたまま使っていないか、他者や他の言語を通してあらためて意識する。

「翻訳されない言葉」も、「言語化されない表現」も、丁寧に確認し、作家にとっては次の制作・発表への準備、鑑賞者にとっては次に出会う作品・作家に興味を持つためのささやかな土台づくりとなればと思います。    

(企画者:佃七緒)

募集要項

募集は終了しました

制作に関するテキスト※1を、協力者※2との対話※3を通して、別の言語※4に翻訳を試みること、またその翻訳を経て展覧会を行うこと、に参加する作家を募集します。

 ※1 作家としてのステイトメントや、作品・プロジェクト解説など
 ※2 主に芸術・翻訳の専門家ではなく、作品制作に携わらない他分野の協力者を企画者で依頼します。
 ※3 現況を加味して、対面での会話やスタジオ訪問などに替え、主にメール・電話・
      インターネット通話・郵便などを利用したやりとりになります。
 ※4 母語(主に日本語)から英語+もう一言語。(もう一言語は参加作家が選択。)

 
応募条件

・作品ジャンル不問。
・個人での応募を推奨。
・今回は日本語を母語とする方を主な対象とします。(相談は受け付けます。)
・2020年7月~12月にかけて、翻訳のための各種やりとり(メール・電話・インターネット通話・郵便など)に対応可能なこと。
・本企画の過程で生じる対話やメモなどの記録(テキスト・写真・音声・動画等)の発表(展覧会・ウェブ・発行物等)を了承すること。
・協力者とのやりとりを深めるために、過去作品や制作メモなど、制作に関する資料を貸与・送付する可能性があることを了承すること。(現状、対面や訪問での対話に制限があるため。)
・本企画は、語学習得を目標とする企画ではないことを了承すること。

 
提供するもの(作家4〜6名)

・制作関連費30,000円
・テキストの翻訳を目指して対話する機会。
・一般社団法人HAPS(京都市東山区)1階ギャラリーでの展示。
  ※2021年1〜3月のうち1〜2週間(会期は参加者決定後に全員で調整)。
  ※ALLNIGHT HAPSとしてのプロジェクトのため、基本の展示時間は18:00〜9:30(翌日朝)、
   ギャラリー正面のガラス越しに外から鑑賞されるという前提。
  ※新作だけでなく、旧作を本企画に合わせて編集し直すことも可。

 
応募方法・提出物

以下3種を合わせて一つのフォルダに入れ圧縮し、20MB以内にして後述アドレスに送付。
※件名は「ALLNIGHTHAPS2020応募申込」とすること。
※判別できるようにフォルダ名に名前を入れること。例)「kyoto_hanako.zip」など

 1.応募用紙(pdfダウンロード
 2.CV(形式自由・A4一枚ほど)
 3.過去作品資料(形式・枚数は自由)
   ・7〜10点ほどの「作品・プロジェクト・展覧会」の資料(内訳は問わない)
   ・各資料ごとに、これまで展示・発表の際に添えたテキスト(キャプション、配布資料
    など)、又はこれから添えたいと思うテキストを併記(別紙にまとめても可)
   ・PCでの閲覧が主となるため、横画面、見やすいサイズの写真を推奨

 
募集期間
2020年6月1日(月)~6月21日(日)24:00まで 募集は終了しました

 
審査について
参加作家4〜6名を、企画者およびHAPSスタッフにて選考し、7月頭ごろを目途に応募者全員へ結果を連絡します。

 
応募・問い合わせ先
tapia.kowa@gmail.com

出展者プロフィール

小出麻代(こいで まよ)


1983年大阪府生まれ。2009年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程版画分野修了。
近年は様々な場所に赴き、場所そのものや、そこに関わりを持つ人とのやり取りを起点に「記憶」や「時間」にまつわるインスタレーション作品を制作している。主な個展に「形代ーかたしろ」(オーエヤマ・アートサイト、八木酒造/京都/2020)、「うつしがたり」(枚方市立御殿山生涯学習美術センター/大阪/2019)、「地に還るー地から足を離す」(Gallery PARC/京都/2018)、 グループ展に「生業・ふるまい・チューニング 小出麻代ー越野潤」(京都芸術センター/京都/2018)、「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2015 枯木又プロジェクト」(旧中条小学校枯木又分校/新潟/2015)、アーティスト・イン・レジデンスに「END OF SUMMER 2018」(YaleUnion/ポートランド、アメリカ/2018)など。

 
 
小林太陽(こばやし たいよう)


1995年生まれ。東京都出身、神奈川県横浜市在住。美術家、映像作家。ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校第2期修了。作家自身、作家の知人 ・友人・家族、そしてふたりの間をとりもつ第3者という、3人の関係をたわいもない雑談を通して描く映像作品を主に制作。主な展示・プロジェクトに、個展「ぼくらは今のなかで」(画廊跡地、2019年)、カオス*ラウンジ「破滅*アフター」(A/Dギャラリー、2018年)、中央本線画廊/画廊跡地(2017~2019年)。

 
 
西尾佳織(にしお かおり)


劇作家、演出家、鳥公園主宰。1985年東京生まれ。幼少期をマレーシアで過ごす。東京大学にて寺山修司を、東京藝術大学大学院にて太田省吾を研究。2007年に鳥公園を結成以降、全作品の脚本・演出を担当。「正しさ」から外れながらも確かに存在するものたちに、少しトボケた角度から、柔らかな光を当てようと試みている。『カンロ』、『ヨブ呼んでるよ』、『終わりにする、一人と一人が丘』にて岸田國士戯曲賞にノミネート。鳥公園の活動とは別に近年のプロジェクトとして、マレーシアのダンサー、振付家のLee RenXinと共にからゆきさんのリサーチなどにも取り組んでいる。2015年度よりセゾン文化財団フェロー。

 
 
長谷川由貴(はせがわ ゆき)


ペインター・大阪府在住。京都市立芸術大学大学院修士課程絵画専攻油画修了後、京都の共同スタジオ「punto」を拠点に制作を行なっている。人間が、自分以外のものを取り込んできた文化・歴史を参照しながら、対象への敬意と畏れの感覚を絵画に落とし込んでいる。近年の主な活動に、2020年個展「あなたの名前を教えてほしい」(ギャラリーモーニング/京都)、ARTIST’S FAIR KYOTO:BLOWBALL punto×副産物産店+仲地志保美「Wunderkammer 」(GOOD NATURE STATION/京都)、2019年個展「VANISHING FRAGMENTS」(CLEAR GALLERY TOKYO/東京)  など。

 
 
村上美樹(むらかみ みき)


1994年 秋田県生まれ
2017年 京都造形芸術大学 美術工芸学科 総合造形コース 卒業
2019年 京都市立芸術大学 美術研究科 彫刻専攻 修了
事故から、私と道具の関係から。本来の道具として使えなくなるもどかしさを展覧会に当てがい、うっすらと関係の無い他者を通して模索しています。そう考えるようになったのはすごく最近のことです。

 
 

企画者プロフィール

佃七緒(つくだ ななお)


美術作家・大阪在住。それぞれの土地に住まう人々の、日々の生活を構成する道具・家具・住居などの住環境や、その中での営みの情報を取り入れ、ドローイングや、日常でなじみのある素材を用いての立体および空間制作を行う。近年の活動に、2019年、飛鳥アートヴィレッジ参加、2018年「Artspace」(シドニー)で滞在制作(京都芸術センターエクスチェンジプログラム)など。

 

ALLNIGHT HAPSについて

本企画は、若手アーティストおよび若手キュレーターの養成を目的とする、年間2名の企画者による展覧会シリーズです。HAPSオフィスの1階スペースにて終夜展示を行い、道路からウィンドー越しに観覧いただきます。

2020年度の第2弾企画「Probable Cause」(企画:小松千倫)についてはこちらのページ(http://haps-kyoto.com/allnighthaps-2020_2/)をご参照ください。

これまでのALLNIGHT HAPSアーカイブはこちらhttp://haps-kyoto.com/allnight-haps-archive/




助成: