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多和田有希+福本双紅 「空の香」

開催情報

【作家】多和田有、福本双紅
【期間】2025年3月6日(木)- 3月29日(土)
【開館時間】11:00 – 18:00
【休館日等】日曜日・月曜日・年末年始[12月23日(土) ‒ 1月8日(月)]
【料金】無料

https://sokyogallery.com/exhibitions/147/overview/

会場

会場名:現代美術 艸居
webサイト:https://sokyogallery.com
アクセス:艸居|京都市東山区古門前通大和大路東入ル元町381-2
                 艸居アネックス|京都市中京区一之船入町375 SSSビル3F
電話番号: 075-746-4456

概要

本展では、写真家・多和田有希と陶芸家・福本双紅が、写真と陶芸の融合点を探求してきた成果を発表します。2020年、京都芸術大学の教育現場から生まれた二人のコラボレーションは、異なるメディアの可能性を拡張しながら、写真と陶芸に共通する言語や感覚の存在を問い続け、その対話を通じて新たな表現の可能性を追求してきました。本展では、その探求の成果として、写真と陶芸を用いた新作の参加型インスタレーションを発表します。コラボレーション作品に加え、各作家の個別作品も併せて展示しております。
 
多和田は、写真性に根付いた、日常とは異なる次元のコミュニケーションを探求し、実践し続けている現代美術作家です。彼女は、芸術療法や民間信仰のリサーチをもとに、写真の表面を削る、燃やすといった物理的な介入を施す独自の手法を用い制作しています。また、母や母系家族など他者と協働する制作を通じて、新たな関係性や記憶の層を浮かびあげることにも取り組んでいます。こうした手法によって、写真・絵画・彫刻の境界を超え、本来写真が持っていたアウラや魔術的な力を取り戻そうと試みています。
 
福本は、陶芸を基盤としながら、その枠組みを超えた表現を探求する作家です。淡く繊細な釉薬表現を特徴とし、硬質な印象を持つ磁器に柔らかさや温かみを引き出し、独自のアンビバレントな美を創出しています。また、焼成の過程で生じる歪みを受容する造形方法によって、作家の意図と偶然性が共存する、唯一無二の表情を持つ作品を生み出しています。
 
本展では、二人のアーティストによる実験的なインスタレーション作品「空の香」を展示します。本作では、観者も作品の創作に参加し、展覧会の終了とともに作品が完成します。
皆様のご高覧を心よりお待ちしております。

作家ステートメント:

「落下する青」
陶磁器の器が空間に吊り下げられ、その表面には転写された青い写真が定着せずに留まっている。そこに写るのは、様々な時代の女性たちのポートレート。その顔は、写真家と陶芸家の顔と入れ替えられ、異なる時間が一つの器に重なっている。

来訪者が水を吹きかけると、イメージは歪み、滲み、溶け合い、流れとなり、器の口の最も低い一点へと集まる。水滴は重力に引かれ、ある瞬間落下する。床に置かれた真っ白な磁器の林檎や壺が、その雫を受けとめる。

人生のある瞬間、わたしたちは来たるべき誰かへ向かい、すさまじい速度で接近し、束の間の相乗りの後、再び遠ざかる。時代を超えたわたしたちの肖像は、見知らぬ誰かが吹きかけた水の粒子に溶け、器からこぼれ落ちる。

落下する青い釉薬は、取り戻せないものの気配に満ちている。
焼成された磁器の林檎は、わたしたちの雫を受けとめた瞬間、密やかに息を吹き返す。
 

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