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梅津庸一・神崎倍充 二人展|ひげさん

開催情報

【作家】梅津庸一、神崎倍充
【期間】2023年12月14日(木) 〜 2024年1月31日(水)
【開館時間】10:00 – 18:00
【休館日等】日曜日・月曜日・年末年始[12月23日(土) ‒ 1月8日(月)]
【料金】無料 

http://gallery-sokyo.jp/exhibitions/exhibitions-7926/

会場

会場名:現代美術 艸居
webサイト:http://gallery-sokyo.jp
アクセス:〒605-0089 京都市東山区古門前通大和大路東入ル元町381-2
電話番号: 075-746-4456

概要

本展は信楽で丸倍陶製を営む神崎倍充と美術家である梅津庸一による 2 人展です。通常の 2 人展とはやや趣向が異なります。というのも神崎は工人(職人)として、梅津は作家(美術家)と して活動しています。したがって神崎は自分が作るものを「製品」、梅津は「作品」と認識し ています。では「製品」と「作品」の違いとはなんでしょうか。ここには「人がものをつくる とはなにか」という本質的な問いが横たわっているように思います。ひとえに「焼き物」と 言っても日常で使うもの、建材、伝統工芸、オブジェと用途や受容のされ方はさまざまです。 また「製品」と比べて「作品」は一点ものであること、そして独自性が強調されがちです。け れども「製品」が必ずしも均質的で代替可能なものとは限りません。神崎と梅津が拠点とす る信楽の現在の状況を辿りながら考えてみたいと思います。 周知の通り信楽は日本有数のやきものの産地であり六古窯のひとつに数えられます。古琵琶 湖層から良質な粘土がとれ、さらに陶工たちの高い技術力も相まって「大物」を得意として きました。土味を生かした素朴な味わいも特徴のひとつです。また信楽は時代のニーズに合 わせ壺、たぬきの置物、傘立て、蘭鉢、花器、洗面鉢、浴槽など様々な物を生産してきまし た。昭和初期には、火鉢の国内生産シェアの 80%を占めていました。信楽は他の産地と違い 現在でも機械による大量生産ではなく職人の手によって一点一点作られています。つまり地 元の粘土を使い職人たちの手で作られるという点が信楽焼のブランドを担保してきたと言え ます。それは「製品」でありながら個体差があり「作品」的な特徴も兼ね備えていることを 意味します。 しかし現在、質の良い粘土は枯渇しつつあり信楽の粘土を使っての生産は難しくなっていま す。また、その土地の粘土で職人の手によって作られる「人と土と炎の出会い」といった物 語性を帯びた「信楽焼」は過去のものになろうとしています。それでも職人のノウハウ、大 きな窯、粘土や釉薬の膨大なデータベースなどは健在であり、それを求めて多くの「作り手」 が国内外から信楽を訪れています。最近では特に現代アートの作家が目立つようになりまし た。かつて量産品を作っていた信楽の窯業のインフラの一部は現代アート作品を生産するた めの下部構造となっているのです。という僕も丸倍製陶の一角を間借りさせてもらっていま す。 ところで本展のタイトルになっている「ひげさん」とは髭をたくわえた作家先生の呼称です。 「ひげさん」はどちらかと言えば「作家」をやや否定的に捉えた蔑称でした。かつて信楽で はいわゆる個人で好きなものを作る陶芸家=作家よりも大きなのぼり窯や製陶所を有する職 人の方が、強かったのです。それは現在の信楽の街並みを見ても一目瞭然でしょう。このように「焼き物」をめぐる現在の状況はたいへん入り組んでいます。かつて絵画や彫刻 などは「純粋美術」と呼ばれ、焼き物などの工芸は「応用美術」と分類されてきました。しか し近年では「伝統工芸」「クラフト」「現代アート」などの境界や定義は曖昧になりつつあり 「焼き物」がどこに分類されるかは「作品/製品」自体の形式よりもそれが発表される場所 や属するコミュニティーに規定されるようになりました。繰り返しになりますが本展は神崎 と梅津による 2 人展ですがそれぞれの作った成果物を紹介するのみならず、美術/アートと 産業をセットで捉え直すことで「ものをつくるとはなにか」「文化の担い手は誰か」という命 題に少しでも近づきたいと考えています。

梅津庸一

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