開催情報
【期間】
2025年8月21日(土)~8月31日(日)
【開館時間】木・金・土・日曜 14:00 ~ 19:00
【休館日等】月・火・水曜
【料金】無料
https://monadecontemporary.art-phil.com/?p=1241
会場
会場名:monade contemporary | 単子現代
webサイト:https://monadecontemporary.art-phil.com
アクセス:〒605-0829 京都府京都市東山区月見町10-2 八坂ビル地下1階 奥左入ル 2号室
概要
〈アーティスト・ステートメント〉
私はしばしば古写真を手がかりに絵を描いてきました。廃屋で埃をかぶり、蚤の市で投げ売られている写真には、被写体の素性も語られぬまま、確かな“過去の瞬間”だけが残されています。長い時を経た像には気配や時間の厚みが漂いますが、私の想像は決してその向こう側へ届くことがありません。
イメージとのより深い対話を試みるために、私は蜜蝋の半透明な膜を重ね、印画紙の光と影をなぞるように絵具を置き、像を緩ませては溶かしていきます。極度の愛こそがイメージの重圧を除いてくれるとロラン・バルトが語るように、鑑賞者が半濁した像を覗き込み、その正体を探ろうとする行為は、被写体や確かな“過去の瞬間”にあらためてまなざしを注ぐことを可能にするのではないかと感じています。
日々洪水のように溢れるイメージの中で生きている私たちが、「イメージの重圧」から逃れ、写し撮られた時やもの事と向き合うのは容易なことではありません。しかし、イメージに対して敬虔ともいえる眼差しを向けること、そのひとつのあり方としての「極度の愛」に、私は可能性を見出そうとしています。
――大石いずみ
monade contemporary | 単子現代では、大石いずみによる個展「Immanence | イメージと極度の愛」を開催します。
大石はこれまで、白黒のフィルム写真や手紙をもとに、光と陰、言葉によって記録された「事実として横たわる時間」の存在と描くことに向き合い、そこから記憶と対話するという行為を促す作品を制作してきました。写真の被写体のイメージは、蜜蝋や絵具が重ね合わされるうちに質料を獲得し、みずみずしさをもって生まれ直すかのようです。
本展では、インターネット上の静止画や動画を題材とする既作、および他者の古写真を用いた新作を紹介し、大石が眼を向けるイメージとメディウムの間から立ち現れる反実仮想としての現実に迫ります。写真/絵画の中間領域で捉え直されたディスプレイ上のデジタルイメージは、ロラン・バルトが語るような存在をありのままに受け入れようとする「極度の愛」において、意味や解釈の堆積として規定された「イメージの重圧」から逃れ、新たな存在感を獲得することになります。
かつてそこにあった存在のイメージが質料と輝きをもって新たに受けとられ、いまここにあるものとして何かを物語ろうとするとき、どのような出来事が現実のものとして起こり、歴史を新たにすることができるのでしょうか。純粋なイメージの記憶から立ち現れる、愛と救済の時間にご参加ください。