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関 優花 アーティスト・イン・レジデンスプログラム2023成果発表会「山中のリポート」

開催情報

【日付】2024年3月10日(日)
【時間】14:00開演
【料金】無料
【定員】20名程度
参加予約について:本イベントの性質上、参加者は抽選により決定されます。参加を希望される方は、京都芸術センターのウェブページより、お名前、ご連絡先、本イベントに期待することを記入の上、お申込みください。申し込み〆切は3月2日(土)、抽選の結果発表は3月3日(日)です。

https://www.kac.or.jp/events/35373/

会場

会場名:京都芸術センター 講堂
ウェブサイト:https://www.kac.or.jp
アクセス:〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
電話番号:075-213-1000

概要

 本成果発表会では、ある問題における当事者と非当事者の距離をいかに縮めることができるのか、という問いを軸に、私の経験や考えを作品を通して共有します。
 昨年8月、私は台湾にて「クィア・エコロジー」をテーマに掲げたレジデンスプログラムに参加しました。そこでは、出身国、民族、ジェンダー・セクシュアリティ、動物の権利などの要素において、異なるアイデンティティや思想をもつ11名のアーティストと出会いました。そして、彼らとともに、先住民族の方々の案内のもと、台東の山中でキャンプを行いました。
 多様な背景をもつアーティストたちとの山での生活では、何度も、ともに過ごすなかで感じた発見や違和感について話し合う機会がありました。そこでは、複数の権利問題について同時に思考し、議論することの困難がありました。誰もがある切実な問題の当事者であり、ある問題においては非当事者でした。議論はたびたび紛糾し、感情が溢れ、それぞれの心の傷を垣間見ました。あらかじめテーマとして用意された芸術の理念では、複数の権利の拮抗状態を解消することができませんでした。このような経験を経て、私は、一つ一つの権利問題について学ぶことの重要性を認識すると同時に、異なるカテゴリーに属するものたちが、「トラウマからの回復をめざす共同体」として連帯する可能性について考え始めました。
 私はこの3年程のあいだ、ハラスメント被害の公表を行った友人の支援活動を行っています。ハラスメントによって生じた心の傷を回復するまでの道のりは、さながら険しい山を登っているかのようです。先人たちが歩いた道が自分たちにとって必ずしも安全とは限らず、時に立ち止まりながらも、生き延びるための道を自力で開拓していく必要があります。このようななかで、私と友人は、ある事件の非当事者と当事者という立場は変えようがありませんが、険しい地形をともに登っていく協力者としてのパートナーシップを少しずつ形成してきました。私はこれを「トラウマからの回復をめざす共同体」のひとつのかたちであると捉えています。
 私にまずできることは、外部にいる他者に向かって山中での経験を、この体を使って知らせることです。今回の発表では、台東の山中で人の心的な傷に触れた経験と、私が支援活動のなかで掴みつつある他者との連帯可能性の手触りから制作したパフォーマンスを行います。そして、それが異なる「山」と「山」をつなぐ方法になったらよいと、楽観的に、真面目に、考えています。

関 優花

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