開催情報
【作家】侯 冠廷 + 森田 志宝
【日付】2026年6月20日(土)〜7月5日(日)
【時間】13:00-18:00(最終日は17:00まで)
【休館日等】月・火・水曜
【料金】無料
https://galleryunfold.com/archive?lang=ja
会場
会場名:gallery Unfold
ウェブサイト:https://galleryunfold.com
アクセス:〒606-8412 京都市左京区浄土寺馬場町1-3
概要
本展では、漆、繊維、染め、塗りといった古来の素材や技法を用いながら、装飾や具象化といった従来の表現を越え、時間や生命について深く探求し続ける二人のアーティスト、侯 冠廷と森田志宝を紹介します。
gallery Unfoldでは2回目の紹介となる侯 冠廷は、テキスタイルを主な素材としながら、生命や存在の本質を問い続けています。創作の起点と本質を探る新作《銀杏》では、人工の布の代わりに獣皮を素材として用い、火や打ち目によってぬいぐるみの「身体」に傷を刻むことで、不可逆な痕跡を残しています。新たな何かを生み出すのではなく、漆盆に据えられた、生き物の気配を思わせるその存在は、むしろ谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』で語られた影に映える姿と重なり合い、生命そのものの脆さや儚さを映し出しています。一方《花蟮》では、「縫い」に加え、近年取り組んでいる「染め」の技法を取り入れています。これまで以上に華やかな姿を見せながら、咲き誇る花がやがて枯れていき、熟した果実が次の瞬間には腐敗へと向かうように、生命の消失と昇華を一層鮮明に表現しています。
森田志宝は、蜘蛛の糸に滴が付く現象に惹かれ、絹糸に漆を塗った「漆糸」を制作しています。最新作では従来よりもさらに細い糸を用い、それらを空間の中で束ね、結ぶことで造形します。ただ、造形と言っても、頭に浮かぶ形をただ具現化することが目的ではありません。自立しない漆糸そのものが、外部からの影響や時間の経過によって変化していくことを受け入れています。糸が生きているかのように、森田もまた、生命に内在する制御し得ないがゆえの美しさを引き出しています。
二人の作品は極めて繊細で脆い存在でありながら、その根底には揺るぎない意志が貫かれています。それは、不完全や変化を受け入れ、物事の変わりゆく姿を見守る姿勢でもあります。脆弱なままでいることは、むしろ強さの表現であり、開かれた状態でいることは豊かさを生み出します。
本展を通じて、時間と生命の移ろいを感じていただければ幸いです。
テキスト|黄 慕薇