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陳 憶誠+黒瀬 正剛「残余と痕跡のあわい」

開催情報

【作家】陳 憶誠 / 黒瀬 正剛
【日付】2026年1月17日(土)〜2月1日(日)
【時間】13:00-18:00(最終日は17:00まで)
【休館日等】月・火・水曜
【料金】無料
https://galleryunfold.com/archive?lang=ja

会場

会場名:gallery Unfold
ウェブサイト:https://galleryunfold.com
アクセス:〒606-8412 京都市左京区浄土寺馬場町1-3

概要

私たちは、結果や完成を求めがちです。しかし、本展で紹介する二人のアーティストは、時間を通してこそ浮かび上がる、物事の存在のあり方を提示してくれます。

陳は木版画の彫り進み技法を用い、刷りの工程を重ねて作品を制作しています。版木を彫っては刷るという行為を幾度も繰り返す中で生じるインクの盛り上がりは、版木そのものと極めて似通った外観と質感を伴って現れます。削る一方で盛り上がるという、一見相反する様態は、動機や意図、あるいはプロセスとしての作為と、結果や完成を表す作品との表裏一体の関係性を浮かび上がらせます。短く素朴な線とシンプルな色彩からなるミニマルな外観と、インクの厚みとが相まって、そこには哲学的な深みが語られています。これらは労働の痕跡であると同時に、物質の残余が新たなかたちとして生まれ変わるかのようでもあります。

一方、黒瀬は、色彩を帯びた、筆墨に由来する多様な線を用いて、平面上に独特のリズムを生み出しています。無作為に見える線は、幼少期に触れた習字の「原体験」が元になって、形づくられています。また、作者自身が語るように、「試し書き」や「本番」といった明確な区別はあまりなく、おもむろに描き始めた線の連なりが、いつの間にか本番へと移行していることもしばしば起こります。描いては止め、また描く中で時間の刻みがつながれ、一度描き終えた画面が、後になって何かと似ていたり、シンクロしているように感じられることも少なくありません。そして、描かれた線の上に、水で希釈し、透過性を得た液体状のアクリル絵具が、染色に近い感覚で幾層も刷毛で重ねられることで、目に残る残像のように独特の色味を放っています。

二人の実践には、現代の時間の流れに対抗するかのような姿勢が見られると同時に、空間への展開にも取り組む姿勢が伺えます。時間や労働への着目から出発した陳は近年、平面作品に建築的・空間的要素を取り入れています。鑑賞者の視点や身体の動きによって、見える模様や色彩は移り変わり、じっくりと向き合うことでこそ立ち現れてきます。また黒瀬も、筆を走らせたことで残された痕跡が点・線・面へと展開していくプロセスをシリーズ作品として提示し、従来の完結的な絵画のあり方を更新しようとしています。

残された痕跡、立ち現れる模様、身体に刻まれた時間、目に焼き付けられる残像、二人の作品は、木版画と墨線画がもつ工芸的かつ時間的なプロセスに、空間や構造、体感を取り入れることで生まれる、新たな鑑賞体験を呼び起こします。本展を通して、目に見えにくい時間や物質の生命、さらに世界とのシンクロを感じていただけましたら幸いです。

キュレーション|Undold Contemporary
テキスト|黄 慕薇

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