開催情報
【作家】白子 勝之
【期間】2026年11月1日(日)- 11月29日(日)
【開館時間】会期中 金・土・日 12:00-18:00
【休館日等】月〜木(アポイントメント制)
【料金】無料
詳細:http://en-arts.com/portfolios/eeny-meeny-miny-moe-indigo/
会場
会場名:eN arts
webサイト:http://en-arts.com
アクセス:京都市東山区祇園町北側627円山公園内八坂神社北側
電話番号: 075-525-2355
概要
作品は特定の意味を有さず、複数のイメージを内包しながら
ただそこに在るだけである。
これまでに少しは蓄積されてきたであろう何かに、
色(indigo)という要素が触媒のように影響をあたえてくれたことは、新鮮な感覚と悦びをもたらしてくれました。
白子 勝之
・
「eeny, meeny, miny, moe」は、虹を構成する七色、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫から一色ずつ取り上げ展覧会のお題とし、それを手掛かりに作家の表現を探り、試みる企画展です。条件を提示することで、色彩やそこから湧き起こるイメージに対する作家のリスポンスやインスピレーション、表現の差異を浮かび上がらせてきました。6回目の 「eeny, meeny, miny, moe」は 白子勝之による個展でテーマ色は「藍」です。
展示の中心となるのは、白子が継続的に制作してきたSCRIBBLEシリーズの最新作です。手描きの線を起点に、MDFや檜などの材を彫り出し、その一部あるいは全体に漆を塗り作品とするこのシリーズでは、紙面上の線が厚みと体積を備えた立体へと移し替えられます。しかし、そこで起きているのは、平面上の線をそのまま三次元の立体に置き換えるだけではありません。意味をもたない線は、素材の内部から現れる「もの」… ただただ「美しい作品」と化して存在感を放ちます。
SCRIBBLEシリーズの作品は、漆の艶や反射光、そして作品が壁面に落とす影によって、物質性を離れた線や像として知覚されます。つまり 立体になることで線から離れてしまうのではなく、立体として存在することにより線であることを異なる方法で露呈させ、彫刻としての実体と、像としての非物質的な現れが、ひとつの作品のなかで同時に成立するのです。
重要なのは、形そのものだけではありません。細長く伸び、曲がり、交差し、重なり合う線状の形態のあいだには、隙間や空洞が生まれます。その「間」も作品の構造を成立させる積極的な要素です。物体と空間、実体と影、見えるものと見えないもの の関係が絶妙なバランスで立ち現れるのが白子のSCRIBBLE 作品なのです。
本企画展で与えられたお題の「藍色」をきっかけに白子の制作に展開が生まれました。藍染です。白子にとって初めての試みとなるMDFの藍染は造形に新たな色を与えただけではなく、作品の質感や見え方に変化をもたらしました。藍はMDFの断面が持つ繊維や層を通過することで、濃淡や揺らぎを帯び、素材の構造を完全に覆い隠すことなく、その内部性を表面に滲ませます。今回発表する最新作においては、漆が表面を覆い 光を反射することで木やMDFの物質感を変容させる一方、藍染は素材の断面に浸透しその不均質さを藍色のなかに残します。前者が物体をひとつの深い色の像へと変えるなら、後者は色の内部に素材の差異を留めるのです。
また本展では、写真作品 CONNECTシリーズより、漆の造形物と百合の花びらや蓮の花弁を組み合わせて撮影された最新作も発表します。白子にとって写真は、立体作品を記録する透明な媒体ではありません。自身が制作した漆の造形物(半永久的人工物)と花びら(儚く散り去る自然物)を寄り添わせ、その最も美しい瞬間をキャプチャーする重要なメディアなのです。
「藍色」という一つの条件から始まった今回の試みは、白子の作品に新たな技法を導入しただけではありません。それは、線と立体、素材と表面、物体と影、実体と像の関係を、色彩を通してあらためて組み替える試みでもありました。深い藍色の漆と、MDFの断面に不均質に現れる藍染。その二つの表面は、同じ色を共有しながら、物質がどのように見えるものへ変わるのかについて、異なる答えを示しています。本展は、色を選ぶことから始まり、色によって形態と視覚の関係そのものが揺さぶられる場となります。
皆様の御来廊を心よりお待ち申し上げております。
eN arts | ロウ直美