開催情報
【作家】陸瑋妮(WEI-NI LU/ルー・ウェイニー)
【期間】2025年12月9日(火)~12月29日(月)
【開館時間】10:00~20:00 ※最終日のみ17:00閉場
【料金】無料
詳細:https://store.tsite.jp/kyoto/event/t-site/51376-1047591125.html
会場
会場名:京都 蔦屋書店 6F アートウォール
webサイト:https://store.tsite.jp/kyoto/
アクセス:〒600-8002 京都府京都市下京区四条通寺町東⼊⼆丁⽬御旅町35 京都髙島屋S.C.
電話番号:075-606-4525(営業時間内)
概要
陸瑋妮(ルー・ウェイニー)は台湾・台北出身、2019年に京都市立芸術大学大学院版画専攻修了後、現在京都を拠点に活動しています。日常で撮影した写真をもとに、さまざまな印刷技術と素材を組み合わせることでオリジナルの風景を版画作品として創り上げます。本展では、シルクスクリーン作品の中から、陸の代表的な作品および「軟質風景」シリーズの最新作品を展示します。
《夜に出会った噴水》と題する作品では、スチレンボードに印刷された噴水の風景が、インクによる溶解や作家自身のドローイングによる干渉によって変色し、凹凸となって現れます。写真のアーカイブの中で眠っていた風景が、まるでレリーフのように浮かび上がり、過ぎ去っていく日常の記憶をそっと呼び覚ますようでもあります。
「magic window view-窓」をテーマとした「軟質風景」シリーズは、窓やガラス越しの風景が印刷された布に、レンチキュラー(※)など異質な素材を重ね合わせることで、置き方や角度によって立体的に表情が変化する作品です。変わらないはずの日常の景色が、作家の遊び心によって別の世界へと開かれていきます。気に入った植物を植え、その枝葉を整えるように、作品を少しずつ組み立てていくことで、変化し続ける風景を表現します。
※レンチキュラー…見る角度によって絵柄が変化したり、立体感(3D)が得られたりする印刷物や印刷技術のこと。
アーティストステートメント
日常から風景の断片を収集し、印刷や複製の過程で生じるコピーとエラーの繰り返しを通して、造園するような感覚で新たな風景の平面作品をプリントする。
気に入った庭木や草花を植え付けたり、変った形をした石を持ち帰ったり、造園と似たような感覚で、自分のお気に入りのコレクションを作っている。例えば、家電量販店に貼り付けられているガビガビの風景壁紙や、スーパーで販売している季節の花束、日頃に何気なく描いた線、iPhoneでふらりと撮った空中の雲、隙間から現れた道端の雑草。これらを何度も繰り返し鑑賞するうちに、枝や葉を切ったり、形を整えたり、自分の庭を造園するようにコラージュをしていく。見慣れた風景に自身のドローイングを加え、身近な光景を溶かしたり、潰したりしながら作品を構成している。
同じ原稿、同じインク、同じ手順で印刷した、エディションと呼ばれる作品には、柔らかい布を用いたものもある。一見複製であっても、置き方によってたったひとつの作品として生まれる。バルーンに少しだけ空気を入れて膨らませると、平面から立体になる瞬間が訪れる。版画が持つ複製性に興味と疑問を持ちながら、印刷でうまくコピーできない部分やエラーを生かし、リアルとプリントの違いを拡大させていく。風が布をかすかに揺らすような、流動的で不安定な状態。日常の秩序を少し揺るがしつつ、複製の過程に生じるズレを、ポジティブな揺らぎとして受け止める。
陸瑋妮