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リュ・ジェユン個展「二つの島を行き来するカモメ」

開催情報

【作家】リュ・ジェユン
【期間】 2025年10月28日(火)~11月17日(月)
【開館時間】10:00~20:00 ※最終日のみ17:00閉場
【料金】無料
https://store.tsite.jp/kyoto/event/t-site/50408-1748261008.html

会場

会場名:京都 蔦屋書店 6F アートウォール
webサイト:https://store.tsite.jp/kyoto/
アクセス:〒600-8002 京都府京都市下京区四条通寺町東⼊⼆丁⽬御旅町35 京都髙島屋S.C.
電話番号:075-606-4525(営業時間内) 

概要

リュ・ジェユンは韓国出身、2021年に京都市立芸術大学院美術研究科修士課程陶磁器専攻を修了し、以降京都とソウルを拠点に活動を続ける作家です。さまざまな出会いや経験を通じて変わる自身の考えやアイデンティティを、陶芸をベースにユニークな質感と色味、それに合わせた油絵具や金など多様な材料を組み合わせて「自画像」を制作しています。新作のモチーフとして登場するカモメには、内陸のローマに生息するカモメたちは海を見たことがないという事実に着目し、故郷を離れ異邦人として生きる自身の姿を重ねています。

本展では、作家の記憶の中のイタリアの情景と、その後現地へ訪れた際に出会った風景を二つの島に見立てて展示します。さらに壁面の奥には15年ぶりに訪れた故郷の島を描いた作品空間が続き、記憶と現実、過去と現在を行き来するような演出を創り出します。

アーティストステートメント

今回のイタリアへの旅は、十年前の旅以来、私の心の奥深くで温めてきたひとつの夢でした。もう一度、広大に広がる平野や、剥き出しの山々、岩でできた島や断崖をこの目に焼き付けたいと思ったのです。

なぜあの風景をそれほどまでに恋い慕ってきたのか、これまで何度も自問し、考え続けてきました。

おそらくそれは、十五年前に最後に見た故郷の島とどこか似ていたからでしょう。

荒々しい石ころだらけの痩せた土地、人の足もなかなか届かない孤絶した島。

そこは幼い日の私を包み込んでいた世界であり、離れてからもずっと私を呼び寄せてきた場所でした。

イタリアで出会った剥き出しの山々や果てしなく広がる平原の風景は、その時故郷の島が呼び覚ました記憶の残響と重なり合いました。

私はその見知らぬ風景の中で、むしろ自らの人生の起源を再び見つけるような感覚にとらわれたのです。

今回の展示で向かい合う二つの壁は、それぞれ私の記憶の中のイタリアと、今回の旅で出会った瞬間を映した二つの島です。

そのあいだをつなぐアート型のトンネルは橋であり、通路であり、観客がこの二つの世界を行き来するための道となります。

壁面の奥の部屋に進むと、私がイタリアを恋い慕うようになった根源の場所――私の故郷の島がひっそりと潜んでいます。

この空間は、私の過去の時間と、未だ終わらない故郷への渇望が重なり合う場所でもあります。

続くArt Collaboration Kyotoでは、今回の旅から戻った後、十五年ぶりに再訪した故郷の島で制作した作品を展示します。

このように二つの島を行き来する今回の展示は、過去と現在、イタリアと韓国、そして記憶と現在が折り重なる多層的な風景を立ち上げます。

ローマのカモメたちは海を見たことがないと言われます。

逞しい彼らは魚の代わりにごみやハトを食べて生きています。

かすかに覚えている海の匂いを恋いながらも、そこへ帰ることのできない存在。

その姿はまるで異邦人のような自分自身とも重なり、私はいつしか自分をそのカモメと重ねて見るようになりました。

やがて二つの島を行き来するそのカモメは、私自身であり、この展示を見るあなたでもあります。そしてそのカモメの視線が渡って見せてくれる風景のなかで、私たちは長いあいだ恋焦がれてきた海に出会うことでしょう。

RYU JEYOON

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