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ハシグチリンタロウ個展「しるしの黎明 -dawn of sign- 」

開催情報

【作家】ハシグチリンタロウ
【期間】22024年12月6日(金)~12月25日(水)18時閉場
【料金】無料

※12月7日(土)15:00よりレセプションを予定。(どなたでも参加可能)
https://store.tsite.jp/kyoto/event/t-site/43921-1303361112.html

会場

会場名:京都 蔦屋書店 5F エキシビションスペース
webサイト:https://store.tsite.jp/kyoto/
アクセス:〒600-8002 京都府京都市下京区四条通寺町東⼊⼆丁⽬御旅町35 京都髙島屋S.C.
電話番号:075-606-4525(営業時間内) 

概要

書家/WLIGHTERのハシグチリンタロウは、「書くこととは一体何なのか」を追求・思索しながら創作活動を続けています。近年は「なぜ人は記すのか」という、書を根本から問い続ける作業の中で生まれた「WRITE(書く)」と「LIGHT(灯す)」を組み合わせた造語「WLIGHTE(ウライト)」をテーマにしたシリーズを発表しています。

本展では、「文字」がうまれる前の、かつて情報の伝達に使われていた「記号」や、言葉の起源を探ろうと試みた作品群を展示します。メインビジュアル「telephonix」(テレフォニックス)は、「空気を伝う音声が文字として視覚的な形を持ち、遥かな時空を流転して読まれることで再び音声として蘇ることの不思議さ」から着想した造語。それをまるで黒い文字の生き物が飛び出すかのようにタオルで大胆に描いた大作です。アルファベット一字一字が生き物であり、文字の生態は、それらが結びつくことで成り立っていると考えるハシグチの世界観がその筆跡から見出されます。

そのほか、現代の文字が1000年後の未来にどのように伝わるのかを空想しながら制作した「謎の本」の断片や、その本に登場する謎のキャラクター「MADDRUNKER」(マッドドランカー)、ハシグチがかつて作業場として借りていたパチンコ屋でひらめいた文字の起源を空想したシリーズ「tama SEE Nation」(無数の玉を見る→玉・SEE→タマシー→魂への飛躍)などを展示します。自身も未だ答えの見えないという「しるしの黎明」はいかなるものなのか。ぜひ会場にてご高覧ください。

アーティストステートメント

「遥か昔」と私たちが想像する、時の向こうの時代がかつて確かに存在していて、そこには今に至るまで人類が文明を進歩させていく過程で失われてしまった様々なものが確かに息づいていた。

たとえば、現代、文字は情報を表示するための記号として、装飾を削り、視認性を究め、その洗練の果てに至ったといえる。一方、遥か昔には情報記号として洗練される以前の、文字や記号や象徴の原点、その始まりの夜明け前、つまり「しるしの黎明期」がきっとあった。そこには、体系化はおろか、文字であることすらまだはっきりとしていない中に、しるしと精神が未分化のまま渾然としていた。

きっとそんな時代があったのではないかという憧憬あるいは懐かしむような思いが僕の中にはあって、おそらくは文字の世界に足を踏み入れはじめた幼少期の驚きや不思議さが大人になっても強い関心として残っているということなのかもしれない。

「文字の中に生き物のような生態のようなものを見る」という態度は現代においては虚妄かファンタジーである。

それでも、僕が大判の紙を広げて夜な夜な、あるいは夜明け前にバケツいっぱいの墨汁にタオルを突っ込んでから書く、という生活を続けているのは、自分が書いた文字の中に黎明期のしるしの生態を見る思いがするからだ。

一般に文字を書くということは一定のルールに基づいて行われる。それは規則性にしたがって反復・再現可能を備え、形と音ないし意味が対応関係を持った約束事を共有した者同士の間で成立するものである。

しかし、僕が思うに、文字を書いてそこに何かが現れるということの中には、約束事の再現を行いつつも、その繰り返しに思われるような行為に、今の時代であれ、やはりその語なり文字なりが初めてこの世に生まれた瞬間に立ち会うことを含んでいるように思う。

空気の振動から生じた音の世界から生まれ、かたちを持つしるしの世界へ転じ、相互に行き交うようになった、ことばや文字は時空間の制約を超えるようになった。またそれらが生まれる源である「精神」はかたちを持たない生命体であり、それらはさまざまな媒体 ― 身体、音声、言語、塗料、機器、その他様々 ― を介して現れる。そのうちの塗料は、かたちを持たない精神を、目に見える物理的な世界へと現し出させるための、言わば体液のようなものであり、人々の思索や空想の中から生まれたものが、伝播しながら時空間を超えて生きる。その発明は人間にとって画期的な転換であったが、その生態を見るにつけ、必然であったように思う。

それは街灯のない暗闇の中で日々空を眺めながら思うことだ。無数の星々が空一面に広がっている。何万光年と離れて遠い昔に放った星々の光を眺めていると、まるでそれが文字の誕生と流転の様と重なって僕に遠くからその物語を語りかけているように感じる。

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