開催情報
【作家】片山達貴
【期間】2025年6月27日（金）－ 7月27日（日）
【開館時間】13:00-19:00（水・木・金・土・日）
【休廊】月・火
【料金】無料
https://purple-purple.com/exhibition/the-shadow-of-the-dog/
会場
会場名：PURPLE
Webサイト：https://purple-purple.com
アクセス：〒604-8261 京都市中京区式阿弥町122-1 式阿弥町ビル 3階
電話番号：075-754-8574
概要
このたびPURPLEでは、片山達貴個展「犬の影 / The Shadow of the Dog 」を開催いたします。
片山は、１万年以上も前から人の「そば」にいる犬の存在について、写真を通して考えてきました。
「そば」でありながら、その距離感は常に揺れ動き、親密さと境界が同居する存在ー。
片山の写真の中には、さまざまな「犬」が表れ、犬とは何だろうという思いを呼び覚まされます。
子どもたちが目を閉じて作った粘土の犬。記憶と手の感触が結びついて生まれたそれは、内なる犬と呼びうる形でしょう。
ブロンズなど彫像の犬もしばしば見受けられますが、そこには風土や歴史の中で人が犬に
託してきたものが形どられています。
また、各地のドッグランの光景には自由と制約とが共存し、社会のなかで新たな関係性を探っているようにも思えます。
片山は、変化しつづけ、つかみがたい犬との距離感を、写真という断片に掬い取ります。
目の前の犬を見ているようで、いったい何を見ているんだろうという瞬間、そこに「犬の影」があります。
私たちが自明のこととして受けとめている日常のなかの関係性を見つめ、
新たな視点をもたらす本展にぜひご期待ください。
展示に合わせて、各地の犬をめぐりながら風景や文化、人とのつながりを探るトラベル&カルチャーマガジン
『 stroll 』Vol.０の販売、犬のおやつ屋さん、その他イベントの開催を企画しています。
また会期中、PURPLEでは小型犬、中型犬、大型犬とのお越しを歓迎いたします（階段で３階まで上がります）。
どうぞ皆様でお越しください。
［作家ステートメント］
犬と人とのあいだにあるもの。そこには、見えない地形のようなものが、静かに広がっています。それは物理的な距離にとどまらず、制度や文化が形づくった関係のありようであり、あるいは、言葉にならない「肌ざわり」のようなものなのかもしれません。犬は、いつも私たちの「そば」にいます。しかし、その「そば」とは、いったいどれほど深く測られたことがあるのでしょうか。その距離感は、どれほど確かなものなのでしょうか。
この作品には、さまざまな視点の断片が集まっています。異なる場所、異なる関係性の中にいる犬たち。共に暮らす、私自身の飼い犬。子どもたちとのワークショップから生まれた、粘土の犬たち。目を閉じ、手の感覚だけで形づくられたそれらは、記憶の中の犬であり、触れたときの感触であり、まだ見たことのない形の中に、それでも確かに「犬」としか言いようのない何かが息づいています。犬のブロンズ像が立つ風景には、人が犬をどう捉え、意味づけてきたのか、その痕跡が静かに刻まれています。ドッグランのフェンスやルールを記した看板、定められた動線は、「制度としての自由」や「関係性のかたち」を問いかけているようにも見えます。
それらはすべて、犬という存在に向けられた、まなざしの痕跡なのかもしれません。私たちは犬を、どのように見ているのでしょうか。どんな関心を寄せ、どんな感情を託してきたのでしょうか。彼らは、私たちの社会の中で、どのように扱われているのでしょうか。そのあり方は、国や地域ごとの制度や文化として、あるいは「しつけ」やマナーといったもっと身近な規範としても表れています。「わかった」と思ったその瞬間に、ふと見失われる距離感。そこには、親密さと境界とが、常に共存し、揺れ続けています。その前で、私たちはどのように在るべきなのでしょうか。
人間社会におけるさまざまな違いがちっぽけに思えるほど、私たちは犬と異なっています。視覚の構造、嗅覚の世界、時間の感覚、死の捉え方。そのすべてが異なるかもしれません。それでも、その違いを保ったまま、一万年以上の時をともに過ごしてきたという事実があります。そこにあるものとは、いったい何なのでしょうか。
片山達貴｜Tatsuki Katayama
1991年、徳島県生まれ。京都芸術大学 美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業。主な展覧会として、「都美セレクション2023」(東京都美術館、2023年)、「dior photography award for young talent 2020 」 (コロナ禍のためオンライン展示/フランス,アルル、2020年) 、「VOCA 展 2019」 (上野の森美術館/東京、2019年)、 「第21回 1_wall展」 (ガーディアン・ガーデン/東京、2019年)