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川田知志:築土構木

開催情報

【期間】2024年7月16日-2024年10月6日
【開館時間】10:00~18:00
【休館日等】月曜日(祝日の場合は開館)
【料金】無料
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20240716-20241006

会場

会場名:京都市京セラ美術館 ザ・トライアングル
webサイト:https://kyotocity-kyocera.museum/
アクセス:〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334

 

概要

川田知志は、伝統的なフレスコ画の技法を用いながら、都市や郊外の均質化した景観にある、その地域に特徴的な要素を題材として作品を制作してきました。

本展の新作の制作にあたり、川田は、郊外の景観を形づくる土木技術を手掛かりにリサーチしました。道路などの開発工事に際し生じる人工的な斜面である法面は、コンクリートなどの構造物によって保護され、特に戦後、各地に独特の景観を生み出しました。また19世紀末に誕生し、都市の経済や産業の発展に寄与した巨大な送電塔は、機能的な幾何学構造で、山林から住宅地まで様々な景観の中に唐突に現れます。都市と都市をつなぐ郊外には、こうしたアノニマスな人工物と自然の共存、あるいはせめぎ合いによって構成される、観光名所などとは対極の、しかし誰もが思い浮かべ得る現代日本の典型的な景観が広がっているのです。

こうした郊外をモチーフとし、本展では色とりどりの造形が地上と地下の展示空間全体に展開します。地上では壁画の表層を移し替える技法「ストラッポ」を用いて布地に移された壁画が3面のガラスを覆うように展示され、その両面からみることができます。
地下の展示室では、地上と同じ下絵を用いながらも、漆喰を支持体に異なる色彩で描かれます。同じイメージの反復は、幹線道路沿いにチェーン店や緑地が繰り返される典型的な郊外の景観を意識させます。また法面や送電塔のイメージは景観から切り離され、断片化され、身体を包み込むようなインスタレーションとして再構成されます。

タイトルの「築土構木」は、「土木」の由来とされる言葉です。これは「聖人が民のために土を築き、木を構えて住まいを整え、暮らしの安寧を得る」という意味であり、土木が市民のための技術(Civil Engineering)であるという公共への視点が含まれています。また壁画というメディアも同様に、公共空間に設置され、誰もが見ることができ、設置場所の文脈を留める点などを特徴としています。公共的な要素が含まれた、まさに市民のための芸術です。

本展の会期の最後には、地下の壁画もまたストラッポ技法により剥ぎ取られます。市民のための技術によって生み出された景観が、市民のための芸術として描かれるとき、そこに立ち上がるのは私たちの声や記憶を宿した、新しい風景と言えるでしょう。

フレスコ画…壁に漆喰を塗り、生乾きの間に顔料で描く技法。
ストラッポ…フレスコ画の描画層を、糊剤を用いて引き剥がし、別の支持体へ移す技法。主に保存修復の際に用いられる。

川田知志

Kawata Satoshi

1987年大阪府生まれ。2013年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。現在、京都府京丹後市拠点。大学でフレスコ画を学び、銭湯や市役所など様々な公共空間で制作、発表。都市近郊の均質化した景色をモチーフにしながら現代社会を記憶する壁画を目指し活動している。近年の主な展覧会に個展「彼方からの手紙」(ARTCOURTGALLERY、大阪、2022年)、「ホモ・ファーベルの断片―人とものづくりの未来―」(愛知県陶磁美術館、2022年)、「still moving final:うつしのまなざし」学長室壁画引越しプロジェクト(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、2023年)など。

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