開催情報
【作家】甲斐蔵
【期間】2023年11月22日(水)〜11月26日(日)
【開館時間】11:00~17:00 *土日は 11:00~18:00
【入場料】無料
https://kumagusuku.info/events/3316
会場
会場名:kumagusuku
ウェブサイト:https://kumagusuku.info
アクセス:〒604-8805 京都市中京区壬生馬場町37-3
電話番号:075-432-8168
概要
theme : 光に向かって落ちていく。
生物がある刺激を受けて一定方向に移動する性質
例えば、昆虫は太陽や月明かりなどの光に対して一定の角度で飛ぶことで高さや方向を保つ、これを趨性と言う。
この性質は誘蛾灯の仕組みにも応用されており、その様子は度々、光に向かって落ちる、と形容される。
私は、光に刺激され作品をつくるその光とは、琴線に触れた出来事、それにより未来に立ち現れる自身の作品への予感である。
過去と未来の狭間において、下流へと流れていく水、経過と共に落ちる砂などの現象に私は時間を見出し、その進みは私に落下感を想起させる。
その落下の最中こそが現在である。
時間は下がっていき、通り過ぎていった、もう触れることのできない過去へ去来する感情は、情熱の根源でありエネルギー源だ。
緩やかに時間を下りながら、光という曖昧で形のないものに対する偏愛を形象化していきたい。
motif : 蛾と蝶
メタモルフォーゼ(変態)するもの。変遷の象徴。
標本は生物学において、ある生物がある時確かにその場所に存在したという物的証拠にもなる。
その中でも特に、蛾や蝶は変態を経て、全く新しい形へと変わっていく。
つまり鱗翅類の標本は、より強烈な時間と変化のメタファーとなる。
concept : 蛾や蝶そのものを絵に当てはめ、それが変化していく過程を模様や布などで表現する。
展示のコンセプトは不変的な表題・視覚表象である絵を軸に支持体としての模様や装いに変化させていくことで、鱗翅類の変態がもつ時間と変化のメタファーを視覚的に表現する。
それは他方に影響されたものを分解し再配分することで個々の世界を接続しながら多面的な答えを導き出すことであり、生命の連続性に似ている。
連続する時間の中で変態してきたその昆虫は、それぞれが唯一の個体であるが、その同一性を保持するためには、軸になるものの存在が必要不可欠である。
一つのタイトルの中で軸となるイメージを共有しながら相互作用する複数の成果物は自己の連続性の保証となりうる。
高速に変化していく社会において自身を保証する軸のための作品づくりを行った。