開催情報
【作家】 濱口直己 | Naomi Hamaguchi
【期間】2025年11月1日 (土) – 11月24日 (日)
【開館時間】13:00 – 19:00
【休館日等】火、水曜日
【料金】無料
会場
会場名:KIKA cas
webサイト:https://kikacas.com
アクセス:〒602-0855 京都市上京区上生洲町224-2
電話番号: 075-606-4486
概要
KIKA contemporary art space(KIKA cas)では、京都を拠点に活動する美術作家・濱口直巳によるインスタレーション・シリーズ《音景》の最新作を紹介いたします。
本作は、展示空間に固有の環境――「音」や「光」のわずかな「響き」――に呼応し、即興的に構成されるサイトレスポンシブなインスタレーションです。制作の都度かたちを変える本シリーズにおいて、濱口は素材を「楽器―音のかたち」と呼び、会場での試行と「調律」を重ねながら、その場で最終像を立ち上げていきます。
用いられる木の造形には、光をほとんど反射しない特別な黒が施され、同型異寸の要素が視覚的な遠近感を意図的に曖昧にします。「演奏(創作)」の瞬間に会場を満たす音と光、そして作家自身、それらの偶然が編み込まれていくプロセスは、空間に旋律を刻む行為でもあります。作家にも予測のつかない、環境に応答しつつ展開するその即興性と不可測性こそが、《音景》の核となる魅力です。
空間と音、そして偶然の出会いが重なり合うことで、ここでしか生まれえない「一度きりの響き」が立ち上がります。京都では約10年ぶりの発表となる本シリーズを、この機会にぜひご高覧ください。
– Statement –
音は見えないが、空気を震わせて存在する。
その振動は空間を満たし、身体を取り抜け、心の奥へ届く。
私は「もし音に重力があったなら」と言う仮説から、空気を媒介に生まれる音の力を形にしている。耳の奥で閉じるのではなく空気を通して”聴く”ということ。それは世界と自分がつながる感覚でもある。音が空間を震わせる瞬間、私たちは生きているという確かな気配に触れる。
本作が、その静かな実感を思い出すきっかけとなれば幸いです。
– Biography –
濱口直巳は、ロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート彫刻科を2002年に卒業。音と空間の関係を探るインスタレーションを中心に制作している。展示空間の響きや光に呼応して形を変える作品は、特別な黒を施した“音のかたち“を素材とし、楽器を奏でるように即興で設営される。
これまでの主な個展に「濱口直己展」(ギャラリー創/札幌/2020)、「音景 no.7 APMOAの場合」(愛知県立美術館/2014)、「音景 no.6-Bienioの場合」(名古屋/2012)などがある。また、「イマジネーションスーパーハイウェイ」(京都芸術センター/2014)、「六甲ミーツ・アート芸術散歩2011」(神戸/2011)などでも作品を発表している。