開催情報
【作家】川田知志
【期間】2023年10月3日(火)– 2023年11月12日(日)
【開館時間】11:00-19:00
【休館日等】月曜日
【料金】無料
https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2023/10150/
会場
会場名:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA・芸術資料館共通エントランス
ウェブサイト:https://gallery.kcua.ac.jp
アクセス:〒600-8601 京都市下京区下之町57-1
電話番号:075-585-2010
概要
いよいよこの10月、京都市立芸術大学はJR京都駅東側エリアの新キャンパスへ移転します。@KCUAではこれまで、この移転に向けたプレ事業として「still moving」シリーズなどのさまざまな展覧会やイベントに取り組んできました。今回はその最終回として、沓掛キャンパス学長室の壁画を新キャンパスへと「引越し」させ、大学の有する芸術資源の保存・活用のあり方について考察するプロジェクトを実施します。
有史以前から現在に至るまで、人はその集団が活動する空間に壁画を制作してきました。持ち運びが可能な絵画が制作されるようになった後も、さまざまな意図で壁画は描かれ続けています。本プロジェクトでは、こうした古くからの「人の営み」に通じる表現である壁画をタイムベースト・メディアと捉え、解体・移動・再構築を通して、今日における壁画の再考察とその可能性の拡張に挑みます。
沓掛キャンパス学長室の壁画(フレスコ画)は、2015年度後期に当時の本学関係者の協力のもと、美術家の川田知志によって制作されたものです。制作から7年余りの時を経たこの壁画を、フレスコ画の移設技法であるストラッポを用いて壁面から描画層のみを引き剥がし、@KCUA(堀川御池)に運び込んで別の支持体にうつして移動可能な状態にしたのち、新キャンパスへと運び込みます。また壁画の一部は壁ごと取り外し、沓掛キャンパスのアーカイブとして保存されます。
川田は以前より、このストラッポの技法を用いて壁画の新たな可能性を探る作品を複数手がけてきました。@KCUAで昨年度実施した「うつしのまなざし」では、模写作品と向き合い、壁画の「うつし(写し、移し)」について探求を続けました。本プロジェクトで川田は、修復家の田口かおりなどの協力を得て、壁画の歴史・修復と移設の伝統技法をあらためて参照しながら、自身のこれまでの制作を見つめなおしつつ作業を進めます。その傍ら、昨年度の「うつしのまなざし」に引き続き、映像作家の片山達貴によって、壁画自体の物質性と川田の身体との関係に焦点を当て、制作・移設の過程で過去・現在・未来が交差するさまを映像化する「うつし(映し)」の試みがなされていきます。
@KCUA(堀川御池)で行われる第1期展示では、壁画移設のための修復・再構成の公開作業ならびに学長室壁画に関するさまざまなアーカイブの展示を行います。あわせて、昨年度の「うつしのまなざし」で制作された壁画作品のその後について、ストラッポ後の作品と記録映像を公開します。新キャンパスへの移動後に行われる第2期展示では、再構築し、展示可能な状態にした壁画ならびにプロジェクトの記録映像の展示を行います。大学の機能とともに膨大な数の芸術資源が一斉に移動するなか、元来その場所に合わせて制作される壁画が、移動によってその意味をどのように変化させるのかに思考をめぐらせつつ進んでいく、本プロジェクトの現在進行形にどうぞご注目ください。