開催情報
【作家】Iden Sungyoung Kim、Celeste Viv Ly、Maya Erin Masuda、成定由香沙、山縣瑠衣
【期間】2023年11月11日 (土) – 2023年12月10日 (日)
【開館時間】10:00 〜 20:00
【休館日等】開催期間中は無休
【料金】無料
https://www.kac.or.jp/events/34621/
会場
会場名:京都芸術センター ギャラリー北・南
ウェブサイト:https://www.kac.or.jp
アクセス:〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
電話番号:075-213-1000
概要
Ground Zero – グラウンド・ゼロとは、もともと核爆弾やロケットの爆発現場を表す言葉です。マンハッタン計画以降用いられてきたこの言葉は、現代において、輝かしい未来の喪失を表象すると共に、その代償によってもたらされた「何もない場所」という複数性を持った言葉として流用されています。
2021年3月より始まったロシアによるウクライナへの侵攻は、大量の人的被害を出すだけでなく、 森や土地、動物に対する核エネルギーの汚染など甚大な影響を残しました。失われたものは身体や物質だけではありません。ロシア人音楽家によって作曲された曲の演奏の倦厭など、侵略国であるロシアに対する国際的な拒絶は結果的に、特定の土地に纏わる文化や歴史を、人々の記憶やサイバースペースといった複雑な関係性の網目からも消滅させることとなります。ここにおいて、 地球を含めた人間を超えた種に対して我々人間がもたらした「ジオ・トラウマ」は、地形という物理世界から拡大し、文化や記憶といった無形の領域においても巨大なヴォイドを形作る事態を招きつつあるのです。
本展は、こうして2019年以降ロシア近郊に作り出された物質的/非物質的なヴォイド・スペースを、 現代における新たなグラウンド・ゼロと捉え、その痛みの記憶の分有を試みるものです。本展に参加するの5人のアーティストは、チェルノブイリでの災害や冷戦時代に繰り返し描かれてきたアポカリプスの表象を、福島第一原発の放射能汚染やドイツの廃棄原子炉に纏わる事象など、それぞれの個人の存在に深く纏わる事象の延長として捉え、局所的なジオ・トラウマを地理的/文脈的に脱中心化することで、物質的な距離の想像力を超えて自分の内部に引き受けようとします。滞在制作と度重なるアップデートを含んだリサーチベースのこの実践を通して、個々のアーティストが引き受けた痛みと共に生きるための術を学びなおす(Un-Learn)ことは、国境を跨ぐことのない当事者/非当事者の囲い込み、また記号化による小さな無数の痛みの忘却に揺さぶりをかけるでしょう。
Maya Erin Masuda(本展キュレーター)
関連イベント
※席数に限りがあります、会場でご覧いただけない場合がありますのでご了承ください。
※各トークイベントは京都芸術センターの公式YouTubeチャンネルよりライブ配信予定です。 ⇒京都芸術センター公式YouTubeチャンネル
■オープニング – レクチャーパフォーマンス
日本、ドイツそして韓国という3国のルーツをもつ出展作家のIden Sungyoung Kimによる、第二次世界大戦後の核研究とその植民地支配との関連についてのレクチャー・パフォーマンスです。
実 演|Iden Sungyoung Kim
日 時|11月11日(土)18:00-18:20
会 場|京都芸術センター ギャラリー南(南館1階)
料 金|参加無料(事前申込不要、先着順)
定 員|15名
■オープニング – アーティスト・トーク
ゲストにオルタナティブカルチャー、アクティビズムを専門とするインディペンデント・キュレーターの居原田遥氏を招き、公共と私を跨ぐアクティビズムとしての芸術実践とその両義性について、出展作家5名によるオープニングトークを開催します。
登 壇|Iden Sungyoung Kim、Celeste Viv Ly、Maya Erin Masuda、成定由香沙、山縣瑠衣(出展作家)
ゲスト|居原田遥(インディペンデントキュレーター)
進 行|平居香子(京都芸術センター アートコーディネーター)
日 時|11月11日(土)18:30-20:00
会 場|京都芸術センター ミーティングルーム2(南館3階)
料 金|参加無料(事前申込不要、先着順)
定 員|25名 ※オンライン配信あり
■トークイベント①
『戦争と建築』著者である五十嵐太郎氏を迎え、昨今のウクライナ情勢と、今日における調査型 (Investigative)芸術実践をテーマに議論を行います。
登 壇|Iden Sungyoung Kim、Celeste Viv Ly、Maya Erin Masuda、成定由香沙、山縣瑠衣(出展作家)
ゲスト|五十嵐太郎(東北大学大学院教授、建築史家・建築批評家)
日 時|11月18日(土) 18:00-20:00
会 場|京都芸術センター 大広間(西館2階)
料 金|参加無料(事前申込不要、先着順)
定 員|50名 ※オンライン配信あり
■トークイベント②
サーペンタイン・ジェネラル・エコロジー(Serpentine General Ecology)を率いるLucia Pietroiusti氏を迎え、「ジオ・トラウマ (エコロジカルな共同体のトラウマ)」を主題に議論します。
登 壇|Iden Sungyoung Kim、Celeste Viv Ly、Maya Erin Masuda、成定由香沙、山縣瑠衣(出展作家)
ゲスト|Lucia Pietroiusti(ルチア・ピエトロイウスティ、 キュレーター)
日 時|11月24日(金)18:00 – 20:00
会 場|京都芸術センター 大広間(西館2階)
料 金|参加無料(事前申込不要、先着順)
定 員|50名 ※オンライン配信あり
■トークイベント③
フォレンジック・アーキテクチャー(Forensic Architecture)よりSusan Schuppli氏を迎え、戦争や惨禍における「マテリアル・エビデンス」とそれを囲む芸術実践について議論します。
登 壇|Iden Sungyoung Kim、Celeste Viv Ly、Maya Erin Masuda、成定由香沙、山縣瑠衣(出展作家)
ゲスト|Susan Schuppli(スーザン・シュプリ、アーティスト・リサーチャー)
日 時|12月3日(日) 18:00 – 20:00
会 場|京都芸術センター 大広間(西館2階)
料 金|参加無料(事前申込不要、先着順)
定 員|50名 ※オンライン配信あり
■滞在制作
作家らは滞在制作を元に、Ground Zeroという5名のリサーチコレクティブとして常に議論を進め、有機的に作品を変化させ、随時作品のアップデートを行っています。制作室2では、コレクティブとしてのリサーチ過程をご覧いただけます。
日 時|11月12日(日)〜12月10日(日) ※一部不在日あり
会 場|京都芸術センター 制作室2(北館1階)