開催情報
【作家】ナオミ・リンコン・ガヤルド Naomi Rincón Gallardo
【期間】2024年1月13日(土)~1月28日(日)
【開館時間】13:00-19:00
【休館日等】水・木曜日
【料金】無料
https://tonari-aruku.kyoto-seika.ac.jp/event/534/
会場
会場名:Gallery PARC
webサイト:https://galleryparc.com/index.html
アクセス:〒602-8242 京都府京都市上京区皀莢町(サイカチチョウ)287 堀川新文化ビルヂング 2階
電話番号: 075-334-5085
概要
本展では、2017年に上映パフォーマンスとして発表されたナオミ・リンコン・ガヤルドの『ホルムアルデヒド・トリップ』を、マルチチャンネル・インスタレーションとして展示します。
作品について
「ホルムアルデヒド・トリップ」は、凶弾に倒れたミシュテカの環境保護アクティビスト、ベティ・カリーニョ(1973-2010)が冥界を旅する様子を想像した作品である。
この政治的かつシュールレアリスム的な時を超える旅には、メソアメリカの神々や魔女、動物などが多元宇宙より来たる仲間として加わり、ベティの遺したものが果てなく広がるよう、彼女と共に歩んでケアをする。ベティは自らが殺されたその瞬間を起点に、死者の世界から語り掛ける。
その旅は、彼女がメキシコの月の女神コヨルシャウキへと変貌してゆくプロセスそのものだ。グロリア・アンサルドゥーアによれば、夜の力を体現するコヨルシャウキは、バラバラにされた自らの体を繋ぎ合わせることで重傷から回復する力を持っているという。
アンサルドゥーアの「コヨルシャウキの急務」論は、まさにこの力から誕生した議論である。また本作には、ホルマリン漬けにされたアホロートルが、語り部、教育を受けたガイド役の先住民、アレクサンダー・フォン・フンボルト(ドイツの博物学者・探検家。1769-1859)の欲望/研究の対象、増えゆくディルド、癒しのカプセル、そして過去と現代における植民地的な採掘主義の間をたゆたう亡霊めいた存在として登場する。
(字幕:日本語・英語/オーディオ言語:スペイン語・ミステカ語・英語・ドイツ語/2017年)
アーティストについて
ナオミ・リンコン・ガヤルド Naomi Rincón Gallardo
ナオミ・リンコン・ガヤルド(1979年生まれ)は、メキシコシティとオアハカを行き来して暮らし、活動するビジュアルアーティスト。
脱植民地主義的クィア(cuir)の視座から、リサーチに基づきつつ批判的観点を取り入れた神話的な世界観を練り上げ、ネオコロニアルな環境における対抗世界の創造について考えている。
シアターゲームやポピュラーカルチャー、メソアメリカの宇宙論、スペキュレイティブ・フィクション、土地特有の祭礼や工芸、脱植民地主義的フェミニズム、そして有色のクィア批判への関心を融合させた作品が特徴。ウィーン美術アカデミーの実践プログラムで博士号を取得。
近年の展覧会やパフォーマンス公演に、マドリードのLa Casa EncendidaにおけるTzitzimime Trilogy〔ツィツィミメ三部作〕(2023年)、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2022年)、第34回サンパウロ・ビエンナーレ(2021年)、オアハカ現代美術館におけるUna Trilogía de Cuevas〔洞窟三部作〕(2020年・単独公演)、クンストラウム・インスブルックにおけるMay your thunder break the sky〔あなたの雷が空を砕かんことを〕(2020年・単独公演)、第11回ベルリン・ビエンナーレ(2020年)、メキシコシティのエル・エコ実験美術館におけるHeavy Blood〔重き血〕(2019年・単独公演)がある。