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廣田美乃展 “ENTRANCE”

開催情報

【作家】廣田美乃
【期間】2024年11月19日(火)〜 12月1日(日)
【開館時間】12:00-18:00
【休館日等】月曜
【料金】無料

https://gallerymorningkyoto.blogspot.com/2024/10/hirota-yoshino-2024-1119121.html

会場

会場名:ギャラリーモーニング
ウェブサイト:http://gallerymorningkyoto.com
アクセス:〒605-0034 京都市東山区三条通白川橋東入四丁目中之町207番地(三条通り岡崎広道西南角)
電話番号:075-771-1213

概要

6月下旬、廣田美乃さんのアトリエにお伺いした。間もなく迎える夏越の祓にちなんだ水無月と冷えた麦茶をいただきながら、さまざまなお話を伺う。

会社のオフィスだった部屋を改装したアトリエは窓が多く、電源が各所にあり、制作環境としてもなかなか良いそうだ。一角に設けられた絵画の制作スペースには板張りの広い壁がある。壁面の右方には掛け軸のようにロール紙が下がっており、いつでもデッサンできる。そしてそのデッサンがとても魅力的だ。

壁面の手前には描画スペースがある。他にも版画のプレス機や作業用の大きな机、お気に入りの本やCDなど、その制作を支えるものが置かれていて興味は尽きない。作品が生まれる場所はいつも私の心を躍らせる。

廣田美乃は1987年、京都市に生まれた。父が洋画家で母が日本画家という環境で育ったこともあり、洋画と日本画の融合を目指し制作している。

その作品にはいつも少年少女が登場する。学校で共に過ごしている時もあるし、ポートレイトに収まっている時もある。その背景には具体的なものや模様が描かれることもあるが、概ね単色である。人物や背景には陰影がほとんどなく、薄く平らに重ねられた絵具が相まって、とても平面的に見える。しかし、近寄ってみると人物の髪の毛やまつげ、輪郭などは糸のように細い線でとても繊細に描かれていることがわかる。

そしてなんと言っても特徴的なのはその表面に見える刷毛目だろう。特に顔や手足など肌が露出している部分に重ねられた赤色の刷毛目は、少年少女を生き生きと見せ、少しミステリアスにも見せる。

描かれている少年少女ひとりひとりの表情を見つめていると、静かなその表情の中に、小さな子どもが持つ純粋無垢な部分と、大人ように冷めた部分が存在していることがわかる。確かに子どもは可愛らしく純粋無垢なだけの存在ではないし、賢さや強かさは大人だけのものでもない。入口は帰る時には出口になるし、外と内は立っている場所によっても変わる。物事は見方によって反転してしまうほど儚く脆い。そして私たちはいつもそのあわいにいる。彼らは、可愛くて、生意気で、清楚で、カッコよくて、無邪気で etc…

言葉に言い表せない魅力を持っている。それは例えば小説を読んだときに、その構造は分析できても、文体が生み出す雰囲気を言葉に置き換えられないことと似ている。

画塾時代から現在に至るまで、廣田が描くものは常に人間であり、学校生活の一コマを思わせる場面も多い。その理由を「自分の最も知っているものが人間だった」からで、「描きたいから描いている」と述べている。人間という、最も身近で最も捉えがたい存在を真正面から描き続ける廣田の作品は、人間と同じように対話することでその魅力が増す。ぜひその作品に向き合っていただきたい。

遊免 寛子 (兵庫県立美術館)

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