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showcase #12 “現実の行方 – Whereabouts of photographic reality – ”

開催情報

【作家】澤田 華、谷平 博
【期間】2024年4月12日(金)- 5月12日(日)
【開館時間】12:00-18:00
【休館日等】月〜木(アポイントメント制)
【料金】無料
http://en-arts.com/portfolios/showcase-12/

会場

会場名:eN arts
webサイト:http://en-arts.com
アクセス:京都市東山区祇園町北側627円山公園内八坂神社北側
電話番号: 075-525-2355

概要

eN arts では 4月12日より、清水穣氏のキュレーションによります写真・映像に特化したグループ展 “showcase #12” を開催します。展覧会のタイトルが示す通り、写真・映像の現代若手作家の「ショーケース」となる showcase 展は2012年からスタートし、本展がシリーズ12回目となります。そして今回 本展の為に 清水氏より選出されましたのは 澤田華・谷平博のおふたりです。

恒例になりましたが、eN artsは 本年もKYOTOGRAPHIE2024に KG+ for Collectorsとして参加致します。(https://kgplus.kyotographie.jp) KYOTOGRAPHIE2024のテーマは「『SOURCE』―源は初めであり、始まりであり、すべてのものの起源である。」 澤田・谷平両氏の作品の源を探るべくキュレーションされた showcase #12にて、写真・映像作品における現実の行方…写真が源なのか、現実が源なのか…両者の作品の源を探りにお出まし下さい。

皆様の御来廊を心よりお待ち申し上げております。

eN arts | ロウ 直美

*Press release

showcase #12 curated by Minoru Shimizu

現実の行方

第12 回目のshowcase は、驚くほど緻密に書き込まれた鉛筆ドローイングで注目された谷平博(たにひらひろし1982⽣、初登場)と、2017年度キヤノン写真新世紀優秀賞(Sandra Phillips選)を受賞してから活躍著しい澤田華(さわだはな1990年⽣、2018年以来再登場)を取り上げる。

谷平の作品で、大自然の中でシャーマンと化した人物が、硬い鉛筆で精緻に描きこまれている。写真は、その登場以来、⾁眼に⾒えないものを次々と映像化してきた(最果ての⾃然や宇宙の写真、コンマ以下の瞬間を捉える科学写真やスポーツ写真、⼼霊写真…等々)その結果、我々の知る「現実」は、可視と不可視を問わず、もはやすべてありふれた写真と成り果てたと⾔って良い。写真こそが現実だ、写真のように描かないと⼈はもはやリアルだと⾔ってくれない……1970年代に⽣じ、いまだにYouTubeなど巷でよく⽬にする、スーパーリアリズムのドローイングは、その事実の⽪⾁な表現なのだ。それとは異なり谷平は、写真化した「現実」を超えるもの、写真に写らないものを求めて鉛筆を握る。紙⾯を刻むような谷平作品の本質、その超細密の線の輻輳から⽣まれる灰色の輝きの美しさは、そのコンセプトからして写真に写らない。必ず実物を見てほしい。

さて、写真とはつねに「何か」の写真である。この「何か」、すなわち写真の指⽰対象(レフェラン)は、写真の外に存在する現実とみなされてきた。澤田華の対象は、インターネットで出会う画像である。それはすべてスキャンされた画像であり、言い換えれば真空パック画像である。ここで澤田は、真空パックを切開し、現在可能なデジタル的手法を駆使して、ぺちゃんこになった画像を三次元に復元することで、かつて存在した「何か」、すなわち写真の外部へと遡行しようとする。いったいそんな「何か」は現実に存在したのか、しているのか?

もっとも、かつて存在した「何か」を澤田自身も信じているわけではない。澤田作品は懐疑的な遊戯性に満ち、むしろ「かつて存在した何か」から完全に切れてしまった現在のデジタルイメージのあり方をユーモラスに浮かび上がらせる。

2022年4月  清水 穣

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