HAPSが協力する展覧会のお知らせです。

■概要
会期|2026年4月18日(土)~5月24日(日)10:00〜17:00 ※4月24日(金)のみ12:00~17:00
休日|水曜日
会場|半兵衛麸五条ビル2階 ホールKeiryu(京都市東山区上人町433 半兵衛麸本店北側)
協力|株式会社 半兵衛麸、一般社団法人HAPS、極セカイ研究所、合同会社OQ works、AIR大原
企画|長谷川新(インディペンデントキュレーター)
問い合わせ先|robarting@gmail.com (長谷川)
https://satoshinishizawa.com/exhibition/2192
本展は写真家 / 映像作家の西澤諭志(1983年生)による関西では初となる個展です。展示は写真と映像によって構成されます。これまで西澤の作品を見たことがないという方にも、ぜひお越しいただきたく思っています。展示タイトルは、埼玉県の越生(おごせ)で毎年行われている「世界無名戦士之墓慰霊大祭」を中心に撮影・編集された映像作品からとられています。
少なくない人がそうであるように、西澤も、日常の大半を賃労働に費やし、その隙間を縫って撮影をしています。昨年の個展では、そうした姿勢を漫画『賭博破戒録カイジ』にでてくる「1日外出券」になぞらえました。「外出」において、西澤はさまざまな土地の資料館、博物館、体験施設、史跡などを訪れるのですが、そこでの彼は作家であると同時に、鑑賞者でもあり、もっといえば「見学」をする者として現れています。文字通り、「見て、学ぶ、ことがある」人として。
このように書くと、ある種の慎ましさに裏張りされた現状維持に聞こえるかもしれません。あるいは、ゆるやかに下降する日常のやり過ごし方を自虐的に語っていると感じたかもしれません。しかしそうではないのです。西澤は、写真家が「視覚の更新」をおこなう存在だと言い切ります。そこでは、労働も見学も、写真がもつ「誰かの視覚を更新する力」を手放す口実にはなっていません。「見て学ぶこと」と「自分で決めること」が、写真には等しく含まれていて、限られた時間のなかでそれらを存分に行使するーー西澤はただそのように、自分の体を仕向けているのです。(企画者)
1.見ること
誰かのものの見方が変われば、それはその人が生まれ変わったに等しい。大げさだろうか。不味いと思っていた食べ物が美味しく感じるようになる。馬鹿にして真面目に見てこなかったものを真剣に眺めてみる。美醜の価値判断が絶対でないことに気づく。敵視していたものがそうは見えなくなる。
何かを無視する、貶す、捨てる、壊す、殺す。新しいものの見方が、誰かのそんな判断を躊躇させたとしても、それはまだ大げさだと言えるだろうか。
こういう変化の分岐点は、おそらく誰の身の周りにも転がっていると思うのだが、もし気づかず通り過ぎてしまう人がいたときは「ここであなたは生まれ変わったのだ」と指をさして言いたい。「あなた自身がこれを選んでそれに賭けたのだ」と言いたい(私自身が通り過ぎそうになったときは写真がそうしてくれるかもしれない)。
選んだ道が正しいかどうかより、その分岐点の質感を忘れないために。たとえ間違った選択でコテンパンにされても、その質感を手放さなければ次はきっとよりよい方を選んで進める。
2.記念すること
悲しい記憶があったとしても、ずっと悲しい顔をすることはできない。そこで生きていく人がいる以上、そこを悲しいだけの場所にするわけにはいかない。
たとえどんなに不真面目に見える記念方法になったとしても、適度に忘れ去れるようにしておく必要がある。それでも一度知ってしまった以上は、それがトゲのように刺さって微かに不快にさせ続け、必要なときに取り出せるようになる。
(西澤諭志)
■プロフィール
西澤諭志(にしざわ・さとし)
写真家/映像作家。身の周りの様々な対象が風景として成立していく過程への関心を起点に、日本各地のモニュメントや教育施設、関連する歴史的出来事などについての風景を、組写真の形式でモンタージュする。
主な展覧会に「西澤諭志 個展「1日外出券」」YAU STUDIO(2025、東京)、「クリテリオム98 西澤諭志」水戸芸術館現代美術ギャラリー(2022、茨城)。
近年は、国内外の実験的な映像作品を紹介する上映団体「Experimental Film Culture in Japan」、ブレヒトのフォト・エピグラム『戦争案内』 の翻訳刊行を目指す「『戦争案内』研究会」のメンバーとしても活動。