Exhibition Review

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2015.02.14

HUMAN EMOTIONS/ヒューマン・エモーションズ

山城大督

ARTZONE

2015年2月6日(金) - 2015年2月22日(日)

レビュアー:河合由美子


「動く/動かす」、「移動する」、「感動させる」—— MOVINGという言葉を掲げた映像芸術祭「MOVING 2015」が開催されている。
その共催企画である山城大督の個展『HUMAN EMOTIONS/ヒューマン・エモーションズ』では、展示空間で生じたある「出来事」を複数台のカメラで撮影し、それらの映像を空間に再配置した新作映像インスタレーション作品《HUMAN EMOTIONS/ヒューマン・エモーションズ》をみることができる。

展示空間へ足を踏み入れると、「出来事」の痕跡をみることができる。切株の上に集められた小枝やどんぐり、溶けたろうそくとマッチの燃えカス…そして、8つのスクリーンに映るのは、様々な角度から撮影された映像。「出来事」は、1歳、5歳、7歳の3人の子どもたちと、3人に話しかける「トケイ」との対話を通し、時間軸に沿って再生されていく。
空間に残されたオブジェクト、3人の子どもたちそれぞれを追った映像、定点から空間全体を撮影した映像…子どもたちと「トケイ」の対話に誘われて、それらを結びつけていく。山城がつくり出したこの「再生可能な」映像空間では、複数の視点をもって「出来事」を追体験することが可能となる。

もうひとつの作品《VIDERE DECK/イデア・デッキ》は、山城が2013年に発表した作品の記録映像だ。元となる作品では、《HUMAN EMOTIONS》と同様に、オブジェクトや映像が配置された空間を体験することができる。風船やランプ、コップなどの日用品が配置されたこの作品では、「出来事」ではなく、台詞や音楽、照明の明滅が時間的変化を生み出している。

作家である山城自身が、映像空間を時間軸に沿って編集し、ひとつの映像作品としたのが《VIDERE DECK》である。
そう考えると、《HUMAN EMOTIONS》はまだ編集が完了していない状態だと言えるかもしれない。空間に配置されたオブジェクトや映像を自らの視点にもとづいて結びつけていく、この行為は編集と言えるのではないだろうか。
映像を、空間を、アートを、ものをみるとき、そこには絶えず新たな編集が生まれることを忘れずにいたい。

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