Exhibition Review

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2016.01.26

Theater SCOPE #02

泉太郎、小金沢健人、さわひらき、塩田千春、八木良太

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2015年9月23日(水) - 2015年9月23日(水)

レビュアー:岡上聡良


「京都の中心部は、西を桂川、東を鴨川に囲まれた結界の中にある」。以前、京都のとある講演でそう聞いた。結界―。他の地域ではすぐさま都市伝説の域に入れられそうな話だが、京都ではもっともらしい。真偽はさておき、京都の美術界もまた、地理的なものを超えた”結界”があるように思える。ある人にとっては居心地の良いものかもしれないが、筆者にとっては閉塞感のほうが強い。そんな中、京都以外の活動に触れられる機会は非常に有難い。

中野仁詞氏は、神奈川芸術文化財団の学芸員であり、今年のベネチアビエンナーレでは日本館のキュレーションを務めている。今回は、これまでキュレーションした映像作品の幾つかを上映しつつ、ざっくばらんに、アーティストとのやりとりや資金集めのこと、さらにはどうやって限られた予算の中で実現させていくかまで話が及んだ。氏の清濁併せ呑みつつもはっきりと物を言うさまは、美術の現場を遂行していくには必要なことであり非常に参考になった。なぜ塩田千春をベネチアビエンナーレのアーティストに選んだかという会場からの質問にも、忌憚のない答えが返ってきた。それは、まず氏にとって2カ月で展示プランを作るのが非常に難しかったこと、というのはこれまで2年くらいかけて作ってきたこと、そこにはアーティストとの信頼関係の構築があったこと。そして、海外から見た日本はまだ3.11の影響が強くそれを含める必要性があり、且つ現地ではかなりの作品が展示されることから、鑑賞者は謎掛けを考えたりする余裕があまりなく、比較的インパクトの強い分かりやすいものが良いと考えたこと。ゆえに、これまで一緒にやったことのある、塩田千春だったそうだ。

一時的な目新しさを楽しむ展示やイベントは多少あるが、今回のような、どう考えて進めていくかという根本的なところに直接啓発を与えてくれるものは非常に少ない。中野氏に感謝するとともに、今後もこのようなイベントが開催されていくことを願う。

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