Exhibition Review

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2016.12.10

Ocean Currents

ロベルト・デ・ラ・トーレ、ソン・サンヒ、岩熊力也、山本聖子

Gallery PARC、瑞雲庵

2016年11月19日(土) - 2016年12月4日(日)

レビュアー:奥田浩貴 (29)


 
 ⼭本⽒のキュレーションの元、3作家による作品と配布資料(オンライン書簡)で、展覧会は構成されている。各々の作品を、原油流出と海洋汚染、⽇本の⻄洋化、オリンピック・原発に関する政治的メッセージと、⼀義的な⽴場に収斂してしまうことは容易い。しかし、通奏低⾳として響くテーマ「Ocean Currents」 の中で、作品を解釈しようとすると、異なる⾯も観えてくる。順路の最初の作品、⼩さなモニターに映るソン・サンヒの「The 16th Book of Metamorphoses, The love story of Khora, Plesiosaurus & Leviathan」と、最後の作品 ロベルト・デ・ラ・トーレの「聖⽕」から、個⼈の解釈として展覧会を振り返る。
 
 前者は、オウィディウスによる変⾝物語をタイトルに、16巻⽬を⾃ら創作したアニメーションであり、2007年12⽉Mohang港で起こった原油流出事故に帰結する物語である。作品で登場する⼈間に似た存在「amoeba」の内、「Khora」が物語のキー・キャラクターとなる。「Khôra」という語は「何ものでもないもの」を意味し、解釈の外にあるものを指す。
 
 後者は、五輪と原⼦⼒発電所 2 機の図からなる旗が象徴的である。福島原⼦⼒発電所の外壁の模様があしらわれた体操服を着る「妖精」のマスが、キノコ雲を想起させる聖⽕と旗を持ち、様々な場所で記念写真のようなポーズを取って回る映像である。スーパーで掛かるような⾳楽を流すスピーカーも、プロジェクターと共に、同⼀の壁に向いている。ライトに照らされた⾷料品が陳列する店は、⽇本での⽇常そのものであり、⾳楽と映像はポジとネガとも⾔える。原発画像の出典 URLも含むエンドロールが降りる際には、⼀⼈の「妖精」が豊洲に似たビル群の景⾊の中で、背を向けながら階下を眺める映像が流れる。⼀⼈称の映像は投影されないのである。
 
 Currentsという語からは、海流の他にも時間、エネルギー、貨幣の流れも汲み取る事ができ、それらは複雑に絡み合っている。海流の隠喩について、その始まりと、向かう先について、想像を巡らせることのできる「Poly_tical」な展覧会である。
 

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