Exhibition Review

confessions

2016.11.21

小泉明郎「CONFESSIONS」

小泉明郎

京都芸術センター

2016年10月28日(金) - 2016年11月27日(日)

レビュアー:奥田浩貴 (29)


 

本展では、小泉明郎氏が過去に出品したことのある二点の映像作品が、「告白」というテーマの元に発表されている。ともに 1 枚のスクリーンの表裏に投影された映像作品であり、裏面に字幕が流れるという点で共通している。

《忘却の地にて》で流れる音声、録音された声は、夜空の雲を透かして地を照らす月の光を思い起こさせる。「第二次大戦の日本兵に関する証言の再現」の声の主は、時々閊え、読み方を教える女性の声が聞こえてくる。解説によると、声の主は『記憶障害を抱えて生活して』おり、『証言を記憶して、読み上げ』ている。スクリーン裏面の字幕は、記号を声に起こし、更に記号に戻していることを意識化させる。表面の映像は、海、漂う舟、火等であり、各々意識の母胎、記号、情動を表象している。出来事は解釈の中で、感情の色付けがなされる。演出は非情さを伴う行為に他ならない。自らの記憶を持ち得ないという個のアイデンティティは、逆説的に集合の記憶を浮かび上がらせることができるのかもしれない。

《最後の詩》の表面は黑覆面をした人物の独白が、裏面は短く区切られた都市のフレームが再び繋ぎ合わされた映像が、投影されている。声は『東京の街頭のフィールドレコーディングの雑多な音によって吹き替えられ』た音に変換されている。都市の雑多な音も、小さな単位に分割され、独白者の素の声に合わせてモンタージュされている。新聞の文字が切り貼りされた犯行声明で、筆記の字による人格を消しているかのように。「都市内の匿名の人物」というイメージが、独白を助長する演出とも捉えることもできる。

各々の作品、すなわち記号を声に起こした告白、声を記号に置き換えた独白は、過去には「境界」「疑念」というテーマの元、発表された。「告白」のテーマの中に置かれた本展では、大勢の他者の中で、いかに当事者として関わっていくのか、「支点」を変えて来場者に提示していると読み換えることもできる。

 

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