Walid Raad: I might die before I get a rifle, 2004/ワリッド・ラード《I might die before I get a rifle》2004年

GLOBAL ART TALK 034「武力闘争の時代にアートを教えること」by サスキア・ボス (美術史家、キュレーター、批評家)

実に多くの国際紛争が、戦争や経済的困難、移住問題に結びついている時代に、どのようなアートの授業を行うことができるでしょうか?身の回りの現実を無視できないとすれば、美術評論家やキュレーターが最もよく知っている領域、つまり歴史上、最悪の時代に向き合ったアーティストの反応に焦点を当てることができるでしょう。
フランシスコ・デ・ゴヤやパブロ・ピカソ、ロバート・キャパの写真などを通して、美術史家でキュレーターのサスキア・ボスは、古今の有名なアーティストが、これらの非常に不穏なテーマをどのように視覚化したか、そして、そうした視覚表現が人種間の軋轢によって断ぜられ、検閲され、不要物と見なされてきた状況を示します。あわせてフィリップ・ガストンの作品や、最近のドクメンタに出展したアーティストを取り上げます。
本講義では、美術館ネットワークの研究者として、しばしば言論の自由が脅かされている地域で美術館の緊張関係に対処する国際美術館会議(CIMAM)での自身の仕事についても説明します。

概要

日時:2022年8月8日(月)16:00〜17:30
料金:無料(要申込み) 
会場:京都芸術大学 人間館地下1階 映像ホール&オンライン・トーク
※会場での聴講は、京都芸術大学学生・教職員に限ります。一般の方はオンラインでのご参加となりますのでご注意ください。
定員:500名
聞き手:大坂紘一郎
通訳:中山慶

*新型コロナウィルス感染症予防対策のため、一般の方の参加はオンラインのみとします。また、社会情勢により開催を中止することがございますので、ご了承ください。

主催:京都芸術大学大学院、一般社団法人HAPS

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講師プロフィール

サスキア・ボス
アムステルダムに拠点を置く、現代アートの批評家、インディペンデント・キュレーター。ヨーロッパと米国で、展覧会制作、アート教育やアドミニストレーションにおいて長いキャリアを持つ。「デ・アペル」キュラトリアル・プログラムの創設ディレクターであり、2005年から2016年までニューヨークのクーパーユニオン大学で芸術学部学部長を務めた。現在、国際美術館会議(CIMAM)理事。
ボスはこれまで、多くの機関とコラボレーションのもと国際的なプロジェクトの企画を行ってきた。ルディ・フックスが率いるキュレーション・チームとともににカッセル・ドクメンタ7のカタログ編集補佐として携わったのち、Sonsbeek’86(アーネム、オランダ)、ヴェネツィア・ビエンナーレ(「アペルト」共同キュレーター、1988年)、サンパウロ・ビエンナーレ(オランダ館コミッショナー、1998年)、第2回ベルリンビエンナーレ(2001年)、第3回ミュンスターランド彫刻ビエンナーレ(2003年)など。2009年にはヴェネツィア・ビエンナーレのオランダ館をキュレーションした。

申込み・お問合せ

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京都芸術大学×HAPS グローバル・アート・トーク 034 申込フォーム
お問合せ先:GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp

GLOBAL ART TALK by KUA x HAPS

<現代アートで京都と世界をつなぐ>

現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。

GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する一般社団法人HAPSの「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
京都芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考画像

Peter Paul Rubens’s copy of The Battle of Anghiari, 1603/ピーテル・パウル・ルーベンスによる《アンギアーリの戦い》の模写、1603年

Philip Guston: Untitled, 1980/フィリップ・ガストン《無題》1980年

Francis Newton Souza: Mr Sebastian, 1955/フランシス・ニュートン・ソウザ 《Mr Sebastian》1995年