Sorry, this entry is only available in 日本語. 東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)では、2018年7月31日(火)より、批評家・黒嵜想の企画によるALLNIGHT HAPS 2018前期「呼び出し、交換」を開催いたします。 ALLNIGHT HAPS 2018前期「呼び出し、交換」 会期: 2018年7月31日(火)〜2018年11月10日(土) 企画: 黒嵜想 出展作家: #1 蕗野幸樹 2018年7月31日(火)~8月24日(金) #2 奥祐司 2018年9月7日(金)~9月29日(土) #3 岡田真太郎 2018年10月12日(金)~11月10日(土) 展示時間 18:00〜9:30(翌日朝) 会場 HAPSオフィス1F(京都市東山区大和大路通五条上る山崎町339) 主催 東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS) 支援 平成30年度 文化庁文化芸術創造活用拠点形成事業 助成 公益財団法人 朝日新聞文化財団 黒嵜想&奥祐司クロージングパーティー「kitchen」 2018年9月28日(金)19:00〜21:00※終了しました。 定員:10名(先着順) 入場料:¥1,000 会場:HAPSオフィス1階(京都市東山区大和大路五条上る山崎町339) ALLNIGHT HAPS2018前期「呼び出し、交換」企画者の黒嵜想と第2弾の出展者奥祐司が、搬出を前にして、展示作品《HYPER FOOD PROCESSOR》および本企画について振り返ります。 お申し込みはHAPSのメールアドレス(info@haps-kyoto.com)まで、件名を「9/28クロージングパーティー申し込み」とし、①お名前/②電話番号/③メールアドレス/④人数をご明記のうえご送信ください。 friendshipとtrustとの間には、分割線が引かれた。 私たちは、SNSによってコミュニケーションはそれ自体を目的として行うことができ、公開されている情報は交渉なしに取得することが容易になった。例えば、一冊の本を手に入れるために古本屋の店主と話すことも、私たちにとって今や、無用の煩わしさとなった。店主との対話はそれ自体を楽しめばよく、また、本はそれ自体を検索して手に入れればよい。 友情と信用は別物。だからこそ、それぞれ個別の「情報」として呼び出すことができる。かくして「情報流通」は可能となった。この広大な流通網の中で、私たちは、友情を結ぶべき好ましい相手、信用に足る知識と、直接に関係を結ぶことができる。メディアは限りなく透明になり、孤独も関心も、即座に満たすことができる。 呼び出しと交換の可能性に開かれた、圧倒的な流通網。好悪の市場と、真偽の評価は、それぞれに棲み分けられた。だが、一方で失われつつあるのは、「取次」のイメージだ。かつてfriendshipとtrustの間に立っていた障壁であり、しかし、その両者を取り次いでいた存在。例えば、古本屋はほとんど見かけなくなった。 批評家もまた、その「取次」の一つなのだろうと、筆者は考えている。「好き」の感情へ言葉によって水を差し、真偽の別なる評価を作る。好悪を操る政治と、真偽の判断が分断された情報環境を前にして、まさにそのような批評という「取次」が必要なのだと信じて、筆者も活動している。だがこれもまた、時代の要請と逆行する、不要の行いなのだろうか。 本展では、筆者とは別のかたちで「取次」を実践しているように思えた三人を紹介する。聞けば、アートは今、コレクティブ(集団)での制作が新たなムーブメントとして喧伝されているようだ。みんなで作ること、あるいは、みんなが作品になること。それはそれで良いとして、ならばその「みんな(の制作)」はどのように流通しているのか。コレクターはその一員なのか。 手動式交換電話は、電話交換手を必要とした。発呼者は、希望する接続先を交換手に伝え、彼ら彼女らが相手を呼び出し、回線を交換するまでに、この取次者の声とコミュニケーションをする必要があった。情報流通の間にある取次そのものが、不透明な人格として露出していた。筆者はそのような、不必要な連絡が担っていたものをこそ、捉え直したい。私たちが手にした「情報流通」は、果たして透明なものだろうか? 物理的な流通網には、未だ無数の取次業者が潜在している。取次者なくして流通網は存在しない。インターネットで本を買ったとしても、配達者は介在する。真偽を定める情報にも、その背景には特定の集団の裁定が介在している。好悪を交換する親密圏には、それをとり結んだハブとなる人物が介在している。本展で紹介する三人は、筆者が活動するなかで見つけた、名前を持った「取次者」たちである。 彼らは呼び出しと交換の間にいる。friendshipを交換し、trustを呼び出す、不透明な取次者たち。本展は、彼らにストックされたものを筆者が呼び出し、交換する、コレクション展である。 (黒嵜想) […]
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