©Koki Tanaka

GLOBAL ART TALK 020「新しい生活、沈黙とハワイについて」
田中功起(アーティスト)

「あいちトリエンナーレが終わって、誰に向かって、何を語るべきかがわからなくなっています。そこで見聞きしたものは人びとのヘイトであり、排外主義であり、歴史否定であり、歴史修正主義の言葉でした。ぼくたちが反応すべきはそれらこの社会の問題である、と思います。そしてそれと共に考えられる作品があったと思います。でもそこでくり広げられたのは、保身と自己プレゼン/自己アピールであり、アーティストも、ディレクターも、政治家も、キュレーターも、その多くが何かを見失っているように思えたのです。
このトーク、ぼくの当初のもくろみは近年の活動群を自分なりに整理してみることでした。共同体や公共性について、方法論や制作の組み立て方について、集団と個の問題などについて。しかしその意味がいま見い出せません。なので作品についての話しはほとんどしないかもしれない。むしろ語られることは、いまだ制作にさえいたらないリサーチの話、脇道に逸れて戻ってこれなかった話、迂回の果てに何も見つけられなかった話などかな。つまりぼくはある種の素朴さについて話してみたいのかもしれないのです。」(10/12/2019)

概要

日時:2019年12月7日(土) 18:00-19:30
会場:京都造形芸術大学 人間館 NA402教室
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/about/access/
料金:無料(要申込み) 
定員:100名
主催:京都造形芸術大学大学院、一般社団法人HAPS
→チラシのダウンロードはここをクリックしてください

講師プロフィール

田中功起(たなか こうき)
アーティスト。主に参加した展覧会にミュンスター彫刻プロジェクト(2017)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2017)、リヴァプール・ビエンナーレ(2016)など。2015年ドイツ銀行によるアーティスト・オブ・ザ・イヤー、2013年ヴェネチア・ビエンナーレでは参加した日本館が特別表彰を受ける。主な著作、作品集に『Precarious Practice』(Hatje Cantz、2015年)、『必然的にばらばらなものが生まれてくる』(武蔵野美術大学出版局、2014年)、『共にいることの可能性、その試み、その記録-田中功起による、水戸芸術館での、ケーススタディとして』(グラムブックス)など。

申込み・お問合せ

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京都造形芸術大学×HAPS グローバル・アート・トーク 020 田中功起
お問合せ先:GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp

GLOBAL ART TALK By KUAD x HAPS 

<現代アートで京都と世界をつなぐ>
現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都造形芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。
*GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する一般社団法人HAPSの「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
*京都造形芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考画像

©Koki Tanaka

写真:題府基之/photo: Motoyuki Daifu