HAVOC 2007 © Susan Norrie – installation detail, 52nd Venice Biennale. Courtesy of the artist.

GLOBAL ART TALK 015 スーザン・ノリー(アーティスト)「可能な世界」
グローバル・アート・トーク015ではオーストラリアよりアーティストのスーザン・ノリ―さんをお迎えし、火山研究者の井口正人氏(京都大学防災研究所火山活動研究センター長・教授)と共に防災や火山活動に関連した近年の実践についてお話をいただきます。
「今回のトーク『可能な世界』では、近年の私の関心領域である、熱力学に関連したエネルギー源や技術的進歩に対する需要と、コミュニティへのインパクトとの間のバランス…あるいは探求と搾取との間のバランスをとりあげます。とりわけ『環太平洋火山帯』、特に日本とインドネシアの間の共同研究に焦点を当てます。私はこれまで、防災に関連したインフラストラクチャ―のマネジメントに興味をもち、2004年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協働を開始し、通信衛星を駆使した、彼らの世界気候記録プログラムや、環境災害(人災と天災)、温室効果ガス、セキュリティ・ネットワーク、防衛システムなどをリサーチしてきました。特にJAXAが種子島を拠点に開発している地球観測衛星『だいち』に関心を抱き、2013年からインドネシア諸島と日本の火山活動を調査する井口正人氏とコンタクトをとってきました。今回のこのテーマは、人間の試み、科学的探究、予測不能な地震災害との間の不安定なバランス、特に地域コミュニティに対する社会政治的・経済的・環境的インパクトとの関係を明らかにします。」
(スーザン・ノリ―)

概要

日時:2019年5月20日(月) 19:00-20:30
会場:京都造形芸術大学 人間館NA102教室
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/about/access/
料金:無料(要申込み) 
定員:100名
※英日逐次通訳あり
主催:京都造形芸術大学大学院、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
チラシのダウンロード

講師プロフィール

スーザン・ノリー(アーティスト)
シドニーを拠点とし、美術、ドキュメンタリー、フィルムなどのジャンルを多用する実践を展開。環境や人権、生存に関するプロジェクトを手掛ける。2007年に第52回ヴェネチア・ビエンナーレ・オーストラリア代表作家。2011年に横浜トリエンナーレで発表した《TRANSIT》はその後ロンドンのテートモダンに収蔵された。オーストラリア現代アートセンター(メルボルン)およびオーストラリア現代美術館(シドニー)の理事会にてアーティスト代表を務める。スールン・ホアス・ドキュメンタリー賞や、カールスルーエ・アート・アンド・メディアセンター(ZKM)2001をはじめとする多くの国際レジデンス賞を受賞。2016年にオーストラリア戦争記念館のコミッションで、イラク、タジ・キャンプに派遣。オーストラリア協議会より2019年ヴィジュアル・アーティスト賞に選出された。

申込み・お問合せ

申込み・問い合わせ先:(GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp
*お申込みの際には、①氏名、②人数、③連絡先電話番号あるいはメールアドレス、④ご職業(学生の場合は大学名)を上記アドレスまでお送りください。京都造形芸術大学の学生の方は学籍番号も添えてください。

GLOBAL ART TALK By KUAD x HAPS 

<現代アートで京都と世界をつなぐ>
現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
 京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都造形芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。
*GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
*京都造形芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考作品

TRANSIT 2011 © Susan Norrie – installation detail, Yokohama Triennale. Courtesy of the artist