2 ベーシック・インカム世界ネットワークの活動について
(ベーシック・インカム世界ネットワークHP http://www.basicincome.org/bien/ )
—現在、ベーシック・インカムに関わる活動を何かなさっておられますか。
ベーシック・インカム世界ネットワークという団体がありまして、僕もその団体の理事をしています。
—それはどんな団体でしょうか。
僕が理事をしている団体は、ベーシックインカムを要求する人々の世界的な集まりで、独自の運動や研究をするというよりも、さまざまな個人や団体の運動や研究等の活動をつなぐネットワークです。
1986年に欧州ネットワークとして設立され、僕が参加した2004年からは世界ネットワークに改組されました。欧米はもちろん、ブラジル、アルゼンチン、韓国、日本、インドネシア、イラン、南アフリカなど、様々な国から、研究者、市民活動家、国会議員、宗教者、NGOなど、多様な人々が出会い議論する場となっています。今年の9月にはドイツのミュンヘンで大会があり、僕も参加してきました。
今回とても印象的だったのは、自分のやりたいことを社会の中で実現していくことで社会に関わっていく、そんな生き方を皆がすべきだ、という考え方で、ユニークな取り組みを行っている団体が複数あって、活発な活動をしていたことです。
食べていくために誰かに媚へつらったり、自分を殺したりしないで生活をしていけること。そのことをお互いが社会の中で承認しあうような制度がベーシック・インカムだということです。
そうした団体の一つがこんな王冠を作っていまして、(写真参照) ドイツやスイスの街角でこの王冠をメンバーが配っています。道行く人にかぶせながらベーシック・インカムを宣伝するという活動もしているのです。
僕はドイツ語が読めないのですが、これがスローガンです。(と王冠の文字を指差す) 日本語に訳したら「私は王様です。あなたも王様です。」と書いてあります。
「私は王様です。あなたは家来です。」というタイプの人はそんなに多くもないかもしれませんが、「私は外では家来ですが、家では王様です」とか、「私は家来ですが譜代で、あなたは外様でしょう」とか、どうしてもお互いを尊重することが出来なかったり、また自分自身を肯定することができないことが多いのではないでしょうか。
しかしそうではなくて、みんなが王様である。みんなが自己実現して、生活できていく、そういう世の中がいい世の中であると。ベーシック・インカムさえあればそうなるわけではないですが、そうなるためにはベーシック・インカムはどうしても必要な条件だろうと、そんな議論を展開しています。
それがどれだけ説得力をもつかというと、僕にも何ともわかりません。けれども、僕自身はそういう運動にとても惚れ込んでいます。