私がホホホ座に行くときは何故かいつも小雨が降っているんだけど、谷本さんの個展に行った時もやっぱり降っていた。
ホホホ座近くのバス停から小走りで建物に入って、いろいろ見たあと一階の奥のギャラリーに入った。明かりがなんだか薄暗くてしかも窓がないので外の様子が全くわからない中、最初はギャラリー担当の店員さんから設営の裏話なんかを聞きながら壺やタイルを見てたんだけど、そのうちひとりになって、思い切って作品に近づいたり離れたり、いすに座ってぼーっとしてみたり、とにかく長い時間そこにいた。見れば見るほどそこに何かがいるのがわかってきて、デコボコした陶器の表面上にいるなんだかもやもやした走る犬とか、浮かび上がってくるおばけ、あとぐねぐね伸びた花々などを何回も何回もギャラリーをぐるぐるしながらみていた。全然周りが気にならなくて、時間もどうでもよかったし、スマホのチェックも頭の中からどっかいっていた。
出掛けると絶対といっていいほど周りの知らない人たちに理由もなくビクビクしてしまうんだけど、ももこさんの壺とその仲間たちの間を歩いてると、壺のあまりにもあっけらかんとした感じになんか笑けてきてしまったりもした。部屋の中をぐるぐるしながらにやにやして完全にヤバい人な気もするが、「別に。まあ、ほっといてくれや。」ぐらいの心持ちだったように思う。
陶器の土の感じがなんか気持ちよくて、しかも絵柄や色が急にぼやけて曖昧になる様子に眠る寸前を思い出しながらぼーっと市バスに乗って帰ったんだけど、気付いたらカバンに青くて犬の影絵の絵がかかれたカップが入ってて、びっくりした。あのもやもやの中でお買い物してたらしい。けど、夢みたいだったしほんまか嘘かよく分からん。でも私の部屋の食器棚には確かにカップがあるはずで、なんかどんどん分からんくなって、またぼーっとしてきたのでここらへんで止めときます(笑)