• 2014年12月19日

    開催情報

    【作家】
    高柳むつみ
    【期間】2014年12月6日(土)~12月28日(日)
    【料金】無料
    http://www.g-utsuwakan.com/gallery/gallery1/index.htm

    会場

    会場名:GALLERY器館
    webサイト:http://www.g-utsuwakan.com/
    アクセス:〒603-8232 京都市北区紫野東野町20-17
    電話番号:075-493-4521
    開館時間:11:00~19:00
    休館日等:木曜日休み

    概要

    巨視的とか微視的というが、どちらもつきつめて行けば、私たちの肉眼で見える範囲を超えてしまう。たとえ科学の粋を以てしても同じことである。見えるものと見えないものがある。見えたつもりのものがある。思うに極微の世界も極大の世界も、結局は私たちはそれを見て知るということはできないだろう。神の世界創造の秘密をうかがい知ることなど私たち人間には出来ない相談と得心しておくべきである。あんまり近づきすぎると罰があたるのではないか。釈尊が、微塵世界も三千大世界も無いと云った裏の意味がわかるような気がする。あるけれども無いのである。だから人間の既存的なあり方がそもそも根本的にはかないものを、自我というものを肥大させ、自我の問題に思い患っている姿を見ると片腹いたい、もう一度説き明かしてやろうかと、釈尊が今にあるなら云うかもしれない。しかし我も含め現在の私たちはもう傾ける耳を持たないように思われたりもする。芸術をすなる人が、そのへんを担うということがあっていいのではないかと思ったりもする。
     高柳むつみの作はディテールを極め、それは眼を近づけるほどに、さらなる異次元のディテールを発見するといった具合である。遠ざかればディテールのなかのディテールは視覚の圏外となるが、一度見てしまった微塵なディテールは残像として残り、また眼を近づけようとさせられる。ディテールと全体が強烈な連鎖反応を起こしているようで、それが彼女の作の存在感を特別なものとしている。微塵世界と三千大世界を、断片的にも抽象し得ているように思われるのである。清浄である。神性とか聖性宿るがごとしの風情である。それが精妙な技術によって実現されている。筆使いとロクロ技は、結構な職人でもはだしで逃げ出しそうである。まだ弱冠二十代のはずである。まこと不思議な人である。刮目すべき新進といいたい。当方の注文としては、向後の彼女の仕事の継続のみなのである。