開催情報
【作家】田中雅文
【期間】2014年2月14日(金) – 2014年2月26日(水)
【料金】無料
http://blow-works.com/gallery/press/140214_0226.html
会場
会場名:gallery nearwebサイト:http://blow-works.com/near
アクセス:〒606-8227 京都市左京区田中里ノ前町34-2 珠光ビル百万遍 B1F cafe dining near 店内
電話番号:075-708-8822
開館時間:12:00〜22:00(最終日17:00まで)
休館日等:木曜日休み
概要
2014年2月14日(金)から2月26日(水)までの12日間、gallery nearにて、田中雅文 展「あつまり – 動憶 – to – National flags -」を開催いたします。田中は、大阪芸術大学陶芸コースを首席で卒業後、本格的に陶芸作家として活動をはじめ、様々な公募展にて入賞を果たすなど、着実に実績を重ねてまいりました。大手百貨店や陶芸サロン、美術館での個展、グループ展に加え、国内外の各地で開催されるビエンナーレやアートフェアにも数多く出展するなど、昨今、特に勢いづく若手陶芸界において注目が集まる陶芸家の一人であります。幼少の頃より、身近に陶芸に触れる環境があった為、自然と陶芸の道に進むようになったという田中は、主に磁土を使用し、「鋳込み」という技法で制作しております。鋳込みとは、石膏の型を作り、そこに泥漿(でいしょう)と呼ばれる液体の粘土を流し込み、成形します。その後、釉薬をかけ、焼成することで完成する技法であります。作陶の魅力の1つに「轆轤」や「手びねり」といった、誰もが思い浮かべる技法がありますが、田中は、精緻で繊細な表現を生むこの「鋳込み」の技法を用い、非常にデザイン的かつ、美しい磁器作品を生み出します。量産のイメージが付きやすいこの技法において、型そのものにおけるデザインの限界、手仕事の延長として型の制作を捉えることで、「鋳込み」の技法を極限まで追求し、独自の表現を高め続けております。
田中の作品の特徴は何と言っても、その洗練されたデザイン、繊細な美しさにあります。大学在学中から、一人一人が集まることで生まれる大きなエネルギーに魅力を感じ、制作テーマを「あつまり」としてきた田中は、その原点とも言える作品「集まりが成す形」(2004)を制作し、ピースが集まって完成する作品として初めて表現しました。その後、大学の卒業制作において「連結格子紋盤」(2004)を制作、この作品は学長賞を受賞するなど、田中の類い稀なる感性と実力は大いに評価され、卒業後作家活動を本格化させます。この頃より「集まってひとつの形をつくるもの」を突き詰めた結果、現在に繋がる「ブロック」の作品の代表作「動憶「douoku」」シリーズが生まれます。綺麗な四角のブロックパーツが組み合わさり、高さ1.3×幅1.2×奥行1.1mという圧倒的なまでの存在感を放つ大作、「動憶」(2011)では、その独特なうねりは大海原の波や、地殻変動によって生まれた大地の隆起といった大自然のうねりをも連想させ、そのスケールの大きさ、窯の中で起こる自然を要した化学反応の妙に、感動を覚えるほどです。幾何学的な模様や、ブロックのきちっと整頓されたデザインが数多く組み合わさることで得られる視覚的な美しさに加え、田中が持つ大胆さ、細部にまでこだわりを見せる繊細さを兼ね備えることで、陶芸界でも突出したデザイン性を見せる作品が表出されるのであります。
本展は「あつまり – 動憶 – to – National flags -」と題され、2006年より制作されてきたブロックをモチーフとしたシリーズの変遷が展示されます。「動憶」シリーズに始まり、よりブロックが持つ楽しさや遊び心を心地よく刺激する感覚を純粋に表現することを目指し、ポップな魅力が存分に発揮された「Toy Blocks」シリーズ、自身のテーマである「あつまり」というところから「国」という単位を連想し、ブロックパーツの数の比率を国旗の色の比率と合わせ、立体として再構成している、現段階での最新シリーズ「National flags」シリーズなど、ブロックのシリーズにおける変化の過程を一度にご覧いただける機会となります。また、gallery “ S ”では、煎茶椀や宝瓶、カップ、お皿といった日常使いできる磁器の数々を展示販売いたします。オブジェ作品だけでなく、これらのクラフト作品にも美しいデザイン、フォルムは発揮され、更に、日常使いする中で重要とされる機能性は充分に計算された上で、無機質な印象を持たせつつも随所に色鮮やかなカラーリングを施すことで、にわかにコレクション心をくすぐるプロダクト展開を見せております。
本展をぜひ、ご高覧くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。
gallery near 延近 謙
■ ARTIST STATEMENT ■
大学時代に、自らを取り巻く様々な環境の中で、一人一人のキャラクターがもつエネルギー、そしてそれが一丸となったときに生み出される大きな力に魅力を感じるようになり、制作テーマを 「 あつまり 」 とし、そのテーマのもと作品制作が始まりました。その原点になった作品が「 集まりが成す形 」という作品で、一般的なプラスチックのコップを型で成形し焼成後、金属のビスで球体に組み上げた作品です。この作品がピースを集合させてかたちを作るということした最初の作品です。
次の作品が大学の卒業制作である「 連結格子紋盤 」という作品です。テーマである「あつまり」ということに加え、これまでやきものの世界にあったフォルムを違うプロセスで作ることで「今」を進むことを考えたいと制作したものです。この作品も前作同様に焼成後、透明樹脂のビス約1500本を使い、パーツを連結して盤(皿)のフォルムを構成しています。このことをきっかけに、「集まってひとつの形をつくるもの」ということを考えていく中で、自分の中に自然に浮かんだものは、小さなころ夢中になって遊んだブロックのおもちゃでした。きれいな四角のブロックパーツに釉薬をつけながら窯の中で組み上げ焼成すると、熱の力でパーツが変形し独特のフォルムが生まれます。それと同時に釉薬が溶け、全てのパーツが一体となり作品が完成します。この窯の中で起こる土の動きを記憶してそのフォルムが完成することから、この作品を「動憶」とし、その後さまざまなフォルムに対してのアプローチを続けていきます。またパーツのモチーフにブロックを使っていることから、フォルムと共に色を使った表現なども展開しました。
そうしてく中で、このブロックのおもちゃが持つ楽しさや遊び心をもっと純粋に表現できないか…と考え生まれたのが、「Toy Blocks」という作品です。このシリーズでは、カラーやフォルムに特別な意味を持たず、作品のサイズも小さくすることで積み重なった小さなあつまりの中から、ポップな魅力を感じていただければと制作しています。こうして作品を作り出していく中で、集まって力になること、モチーフに使っているブロック、そして色。自らの作品を形成しているこれらの要素をさらに深く考えていく中で、浮かび上がってきたものが「国旗」でした。最新作のNational flag(国旗)シリーズでは、ブロックパーツの個数、体積、重さなど全ての比率を国旗の色の比率と合わせ、立体として再構成し展開しています。
2006年から始まったブロックのシリーズ、今後もこれらの単純な要素が組み合わさり、集まることによって生まれる可能性に対してチャレンジしていくことができればと思っております。
今回の展覧会では「あつまり -動憶- to -National flags-」と題し、ギャラリーの独特な一本道の展示空間をお借りし、2006年から始まったブロックをモチーフに使ったシリーズの移り変わりをご覧いただくことができればと思っております。
プロフィール
田中 雅文| TANAKA Masafumi1982 大阪府生まれ
近くに陶芸ができる環境があったことから11歳で陶芸をはじめ、大学を卒業後、大阪で独立。
本格的に陶芸作家としての活動をはじめる。
【略歴】
2005 大阪芸術大学 工芸学科 陶芸コース 卒業
大阪芸術大学 学長賞(首席) 受賞
2006 「Craft Studioつくりびと」 設立
京展 入選(07’09’) (京都市美術館・京都)
第44回 朝日陶芸展 入選(07’08’) (愛知・滋賀・大阪)
第5回 出石磁器トリエンナーレ 入選 (豊岡市立伊藤清永美術館・兵庫)
2008 未生流中山文甫会創立55周年 いけばな展 (高島屋大阪店グランドホール・大阪)
田中雅文展(個展) (高島屋京都店美術工芸サロン・京都)
2009 第27回 朝日現代クラフト展 入選 (大阪・神奈川)
Made in OSAKA展 (阪急百貨店MEN’S館・大阪)
神戸ビエンナーレ 現代陶芸展 入選 (神戸メリケンパーク・兵庫)
急須百選展 2009 (丸善名古屋栄ギャラリー・愛知)
2010 陶ISM 若手陶芸家展 2010 (益子陶芸倶楽部・栃木)
壁を彩るお皿たち展 (ギャラリー北野坂・兵庫)
フタのある形展 (ギャラリーVOICE・岐阜)
陶ISM Tokyo 2010 (gallery re:tail・東京)
平城遷都1300年祭 光の作品展 (平城宮跡・奈良)
2011 イケヤン☆展 in 東京 (neutron tokyo・東京)
アートフェア京都 (ホテルモントレ京都・京都)
磁器×硝子×和紙展 (ギャラリーソラノハコ・東京)
清州ビエンナーレ (清州・韓国)
縁 現代茶ノ湯スタイル展 (渋谷西武百貨店・東京)
2012 わんの形 (多治見市文化工房ギャラリーヴォイス・岐阜)
ART KYOTO 2012 (ホテルモントレ京都・京都)
縁 現代茶ノ湯スタイル展 (渋谷西武百貨店・東京)
2013 未生流中山文甫会創立60周年 いけばな展 (高島屋大阪店グランドホール・大阪)
Contemporary Japanese Design MILANO SALONE2013 (ミラノ・イタリア)
以美為用展 (高島屋京都店美術画廊・京都)
陶ISM in 笠間ギャラリーロード商店会 (笠間ギャラリーロード・茨城)
田中雅文展(個展) (G.I.FACTORY・大阪)
Stylish Ceramics (恵比寿三越・東京)
神戸アートマルシェ2013 (神戸メリケンパークオリエンタルホテル・兵庫)
モダン茶ノ湯のミタテ時間 (恵比寿三越・東京)
EMERGING DIRECTORS ART FAIR 006 (Spiral Garden・東京)
国際陶芸フェスティバルinささま (島田市山村都市交流センターささま・静岡)