開催情報
【作家】オガサワラミチ
【期間】2013年9月27日(金) – 2013年10月9日(水)
【料金】無料
http://blow-works.com/gallery/press/130927_1009.html
会場
会場名:gallery nearwebサイト:http://blow-works.com/near
アクセス:〒606-8227 京都市左京区田中里ノ前町34-2 珠光ビル百万遍 B1F cafe dining near 店内
電話番号:075-708-8822
開館時間:12:00〜22:00(最終日17:00まで)
休館日等:木曜日休み
概要
2013年9月27日(金)から10月9日(水)までの12日間、gallery nearにて、オガサワラミチ 展「無窮螺線」を開催いたします。オガサワラは、2004年より、毎年のペースで京都を中心に勢力的に個展を開催し、女の子やキノコといったモチーフをドローイングやコラージュで表現し、少し毒気がありつつもファッショナブルな作風で、その知名度を着実に上げてまいりました。ドローイングにおける表現を常に模索・追求し、昨今では、百貨店の催事での出展や、その無数のドットや細かな線、モチーフのキャッチーさから、アパレルのデザインも手がけ、主に着物の半襟などに直接手描きするなど活躍は多方面に渡り、美術界のみならず、各方面からも注目を集める作家の一人であります。
オガサワラは、主に鉛筆やペンを用い、下書きや修正を一切せず、1枚の作品を完成させます。初めのひと筆を画面に落とした瞬間から、その永遠にも思える「線」の集合は、彼女の感情にのみ委ねられ、彼女自身にもその終焉が見えないまま、増殖を繰り返していきます。作品は一見、複雑に絡み合いドロドロした妖しさを醸しつつも、どこかポップさも感じられ、いつしかその「線=感情」の反復に魅き込まれていきます。
2012年10月に当ギャラリーで開催された「回帰線」と題された個展では、自らが生み出してきた作品、過去を振り返る事で、「線」を描くという原点に立ち返り、まさに「回帰された線」を見せつける展示となりました。あれから約1年経過した今、彼女の表現はどのような変容を遂げたでしょうか。
現代社会における漠然とした不安、焦燥感から生まれるネガティブな感情を「線」に託し、画面にぶつけることで、行き場のない感情をコントロールしているように見えた1年前の作品群に比べ、現在の「線」は、より複雑さを増しつつも、どこか希望や光を思わせるポジティブな部分も垣間見え、オガサワラの表現に対する心象の変化が画面に表れているようであります。使用素材や技法にも変化が見られ、鉛筆やペンだけでなく、アクリルやメディウムといった素材を用いることで、ペインティングの要素が加わり、マチエールはボコボコとした立体感・複雑さを帯び、作品としての強度はより強固なものとなっております。オガサワラは「回帰線」後、原点に立ち返ったことで、「あらゆる繋がり」に気付くきっかけになったと言います。自分自身の生い立ちや自分を形成するもの、自らを取り巻く環境、家族や血縁、DNAといった細胞レベルのものから、今までの人生の中で出会い、縁のあった友人・知人の過去など、表層上だけでなく、万物が成り立つ全ての要素にあえて意識を向けることで、認識・再認識することができるあらゆる事象を「繋がり」と捉え、把握することにより、それらひとつひとつを自らの表現に置き換え分解し、最終的に「線」によって再構築を図ります。そうして表現された画面には、細胞のような無数のドットや滴る血液、様々な人間的な繋がりを連想させる複雑に絡み合った線が駆け巡り、生命のサイクル「輪廻転生」のような世界観に満ちた、まさに永遠に続く生と死のスパイラルが存在しているようであります。
本展は2013年に制作された、大小様々な新作のみで構成されます。また、それらメインの展示の他に、小さなキューブ型のスペースgallery “ S ”では、壁面全てを「線」で覆い尽くした「無窮螺線」と題されたドローイングルームも発表されます。(※9月27日(金)〜10月2日(水)の会期前半のみの展示となります。)会期が始まる前の約2週間かけて部屋を「線」で埋め尽くす気の遠くなるような作業は「線」を追求するオガサワラにとっても新たな挑戦であり、原点に立ち返った「回帰線」、そして過去、現在を認識することで到達した自らの存在意義への答えとしての本展「無窮螺線」を経ることにより、オガサワラ自身もまた、日々更新されていく細胞のように表現における無限のスパイラルへと踏み込んでいくようであります。
本展をぜひ、ご高覧くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。
gallery near 延近 謙