開催情報
【作家】杉本準一郎
【期間】2015年1月27日(火)~2月1日(日)
【料金】無料
http://gallerymorningkyoto.com/2015exhibition/sugimotojyunichiro2014.html
会場
会場名:ギャラリーモーニングwebサイト:http://gallerymorningkyoto.com/
アクセス:〒605-0034 京都市東山区三条通白川橋東入四丁目中之町207番地
(三条通り岡崎広道西南角)
電話番号:075-771-1213
開館時間:12:00~19:00/火曜〜土曜
12:00~17:00/日曜
休館日等:月曜日休み
概要
人間や自然の「やさしさ」を、どのようにして彫刻としての形に造りあげ、創造物を生み出してゆくか。杉本さんの作品を見ていると、常に、その一点に向かって、全身でぶつかっている求道の彫刻家の姿が連想される。杉本さんの作品に初めて接したのは、岐阜県・関ヶ原製作所で2008年に開かれた「せきがはら人間村・サマーシンポジウム」のために制作された野外彫刻群に出合った時だった。伊吹山系を背景に、ガンジスの悠久の流れと高遠なヒマラヤの山々をイメージした白い大理石の彫刻群が広がり、かつての古戦場の自然と調和しつつ、新たな様相を楽しませてくれた。
この時の作品制作には、インドやネパールの彫刻家が参加していたが、その縁をつないだのが杉本さんだった。インドやネパールの人々との親密な交流が、杉本さんの作品の個性を作り出した、といっても過言ではない。後に、東京のインド大使館で開催された個展でも、木彫を中心に、ときに女性の身体を思わせるような、やさしい曲線が特徴的な作品を見ることが出来た。ほのぼのとした印象が心に残り、人間を見る目を少し変化させられるような作品だった。
東日本大震災からちょうど一年が経った2012年3月11日、杉本さんの車で、滋賀県湖南市にある国宝・善水寺に案内してもらった。ここで杉本さんは、地元で生産されるサクラ御影石などを用い、住民の手も借りて、連帯して作品を磨いていた。その年の4月から
「CORRESPONDENCE」と名づけた彫刻展を、寺の境内を舞台に展開する準備段階だった。手のひらに包まれたような「始まりの形」や花崗岩で出来た「海を行く」などの作品が、すでに形を表して、我々を迎えてくれた。
天台宗の寺で、悠久のアジアの知恵や深い思想を感じつつ、杉本さんは「生涯で一等の興奮の時間。すっかり本物のアジア人に」と述懐する。インドやネパールの体験を語る杉本さんの口調は熱っぽい。すべての作品の底流に、その思いが流れ、それはアジアの悠久の時間の流れと感覚を共有しているように受け止められた。
上野の東京都美術館で2014年2月に開かれた「現代日本彫刻作家展」では、緑の石材を使った造形が、会場の床に横たわっていた。思わず触れてみたくなるようなやさしさ、あたたかさ、なめらかさ。作品に触れてもいい彫刻展は割に少ないが、杉本さんの作品は、見るだけでなく触れてみて、肌合いに共感できる特徴も備えている。
今回の個展では、「青石」を使った作品が出品されると事前に聞いて、自分のふるさとである徳島との縁に驚いた。「大谷通れば石ばかり」と阿波踊りの囃子言葉に出てくるのが「阿波の青石」であり、徳島城址公園の庭石などで見慣れた石材だ。彫る対象としては割れやすい、などの欠点もあると聞くが、徳島特産の藍にも通じる色のこの石から、杉本さんがどんな「やさしさ」を表現してくれるか、楽しみな個展となった。
高尾 義彦(ジャーナリスト、日本新聞インキ社長)
プロフィール
杉本準一郎1948 信楽生まれ
2003 日本・インドHARMONY彫刻シンポジウム(デリー)主宰
2005 常滑梶間台ミュゼ通り彫刻群の制作(愛知)
2006 スギモトオープンエアミュージアム(関が原)
日本・ネパールHARMONY彫刻シンポジュウム(カトマンズ)主宰
2008 インド・ネパール・日本国際シンポジウム(関が原)主宰
2010 優しく豊かなアジア・個展(インド大使館)
イタリア・トロント市国際シンポジウム共同主宰(イタリア)
2011 市民と共につくるシンポジウム(湖南市岩根)主宰
2012 国宝・善水寺 個展(滋賀)