• 2018年12月14日

開催情報

【作家】松原俊太郎・松元悠
【期間】2018年12月13日 (木) 〜 2018年1月6日 (日)
【時間】10:00‐20:00
【休館日】2018年12月26日(水)~2019年1月4日(金)
【料金】

会場

[展示]京都芸術センター ギャラリー北・南
webサイト:http://www.kac.or.jp
アクセス:〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
電話番号:075-213-1000

概要

松原俊太郎の創作中の新作戯曲が読み解かれ、声なき言葉を持つ顔たちが、画面にあらわれる。
京都芸術センターが主催する「演劇計画Ⅱ―戯曲創作―」では、2016年度より「S/F ―到来しない未来」をテーマに、松原俊太郎、山本健介のふたりの劇作家が3ヶ年かけて新作戯曲の創作に取り組んでいます。
松原俊太郎による戯曲『カオラマ』は、執筆の過程において、静謐かつ奇妙な設定を用いた物語であった第一稿から、戯曲形式そのものを世界の謎として内在させるトリッキーな第二稿へと、大きくその姿を変えました。通底しているのは、何者かが存在した痕跡が言葉として刻まれていること、そしてその言葉が訴えかける「存在したことを感知しえないこと」の痛切さです。
この戯曲『カオラマ』を基にした展示を、リトグラフ作家の松元悠に依頼しました。松元はこれまで、新聞やニュースの小さな記事と自身が観察した風
景や身体的な実感を文字通り重ね合わせ、版画作品を創作してきました。
今回松元は、ニュース記事にかわり、戯曲という強力なフィクションを読み解き血肉化し、新作を制作します。その作品たちは、戯曲に刻まれた未だ現実化されない相貌を露わにするでしょう。
-アーティストコメント(松元悠)
これらは記録です。生きている自分と死んでいる他者を記録しています。記録媒体として使用しているリトグラフは、版面に油脂分が触れるとイメージとして定着する性質を持っています。この不可逆性をともなう記録媒体を用いて、現在進行形で起こる実話と日々更新される個人の話を記録しています。
日常の折、生きている人の記録は日々更新蓄積されていきますが、その中で日々更新蓄積が叶わなくなった他者と唐突につながる瞬間があります。テレ
ビニュースを眺めている時がそうです。今のニュースが何だったのか、咀嚼できずに次の当事者が現れる。そのような報道の波の中で、ふと、個人の
事象と当事者との間に、何らかの関連性を見つけることがあります。私の場合は、そこから有りもしない、当事者とのもどかしさや怒り、悲しみの共有が発生していくのです。無意識の元で繋がった私と当事者との関係を繋ぎとめようと、ある時は事件現場に行ったり、あるいは当事者の服に似た服装をしてみたり、当事者との共演を試みて強引なこともしました。
メディアで報じられた、正体不明のとある当事者の顔。その顔に思いを馳せ、人物像を推定し、私個人の当事者像が出来上がる。被せた土を掘り起こし、また土を被せるような行為。上演されるはずのなかった、私と当事者の話。それによって、私はいつも緊張しています。
テレビを消した時、テレビは私の顔を映し始めました。