• 2021年09月03日

開催情報

【作家】川嶋 渉、笹岡由梨子、Łukasz Surowiec(ウーカシュ・スロヴィエツ)、高田冬彦、TŌBOE(トーボエ)、西條 茜、Valentin Gabelier(バロンタン・ガブリエ)、Piotr Bujak(ピョトル・ブヤク)、Alicja Rogalska(アリツィア・ロガルスカ)、Paweł Pachciarek(パヴェウ・パフチャレク)、Kolektyw Łaski(コレクティヴ・ワスキ)
【期間】2021年9月1日(水)–2021年9月19日(日)
【開館時間】11:00–19:00
【休館日等】月曜
【料金】無料
https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2021/7078/

会場

会場名:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
webサイト:https://gallery.kcua.ac.jp
アクセス:〒604-0052 京都府京都市中京区押油小路町238-1
電話番号:075-253-1509

概要

本展のテーマは以下の三つである。
1. 大災害、大変動の時代に革命的変化を求める世相を追い風に、世界の価値観を刷新し、単に牧歌的・ユートピア的なヴィジョンではない、新しい持続可能なモデルを構築することは可能だろうか。
2. 資本主義を葬り、既存の不平等を是正して、より大きな社会正義が実現され、社会から排除されてきた集団も包括するような新しいシステムを提案することは可能だろうか。
3. 言語コミュニケーション上の齟齬、誤解、またそもそも失敗というカテゴリーは、芸術的実践の基礎となりうるだろうか。それは逆説的に、互いを知ることや相互理解の最良の方法にならないだろうか。
こうした問いに答えようと、様々な文化的背景を持つ作家たちを交えて継続的に取り組んできた成果が本展では示される。滞在制作、あるいはリモート制作された本展は下の三つのパートから成る。
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災害ユートピア
レベッカ・ソルニットが提唱した概念によれば、大規模な災害が発生すると、人々の連帯感・気分の高揚・社会貢献に対する意識が高まり、一時的に高いモラルを有する(理想的といえる)コミュニティが生まれる。そのコミュニティは災害発生直後の短期間だけ持続し、復興が進み共通意識が薄れるに従って、自然と解体されていく。それは災害を契機に生み出され、消えるユートピアと言えよう。歴史学者テッサ・モリス゠スズキは、日本でも2011年の東日本大震災直後、絆や復興をスローガンに社会活動が起こったが、次第に縮小していったことを指摘している。現在渦中にあるCOVID-19の場合も、ベーシック・インカムなどこれまで実現不可能と考えられてきた思想が注目を集めている。
不可能を可能に
一方、アーシュラ・K・ル゠グウィンは『反グローバル資本主義』に「私たちは資本主義の時代に生きており、その権力は不可避に思える。しかし王権神授説も同様だった」と書いた。ポストコロナ時代には、従来の常識を覆す思想が新しい基盤になりうる。つまり、フェミニズム、LGBTQ+、外国人・移民受け入れなど、社会に拒絶されてきた思想・世界観を再考し、社会を更新する機会になるのではないか。
ロスト・イン・トランスレーション
「ロスト・イン・トランスレーション」という言葉は、何らかの欠落、意味伝達の不可能性、それに伴うコミュニケーションの阻害や疎外感を指しているように思える。しかしこの態度を肯定的に捉え、迷うことを自分に許すなら、それはお定まりの型やスキーマに従うこと、頼ることをやめ、完璧で誤謬のない退屈な翻訳では誰も気づかないような、全く別の新しいコミュニケーションをひらくきっかけとなるのだ。
パヴェウ・パフチャレク

関連イベント

Lost in Translation TŌBOE ライブパフォーマンス
【日時】 2021年9月4日(土) 15:00–15:20
     2021年9月19日(日) 15:00–15:20
【言語】 日本語 (他言語への通訳なし)
【参加費】無料
【申込】 申込不要
【概要】
「ロスト・イン・トランスレーション」という言葉は、何らかの欠落、意味伝達の不可能性、それに伴うコミュニケーションの阻害や疎外感を指しているように思える。しかしこの態度を肯定的に捉え、迷うことを自分に許すなら、それはお定まりの型やスキーマに従うこと、頼ることをやめ、完璧で誤謬のない退屈な翻訳では誰も気づかないような、全く別の新しいコミュニケーションをひらくきっかけとなるのだ。
【作家】
TŌBOE(トーボエ)
陶磁器を軸にした作品制作を行う西條茜と、声や息を用いてパフォーマンスを行ってきたバロンタン・ガブリエによるユニット。扱う素材は異なるが、これまで共通して、作品による身体へのアプローチを行ってきた。2020年よりTŌBOEとして「陶芸」と「息・声」を用いて陶製のサウンドオブジェクトを制作する。2021年「KYOTO ART LOUNGE EXHIBITION 表裏のバイパス」(藤井大丸ブラックストレージ)参加。
西條 茜(さいじょう・あかね)
2014年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器分野修了。2013年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート交換留学。2020年度京都市芸術文化特別奨励者認定。「空洞」でありながら「リアリティある表面」という陶磁器の特徴に着目する一方、世界各地の窯元などに滞在し、地元の伝説や史実に基づく作品を制作。主な個展に「胎内茶会」(京都市営地下鉄醍醐車庫/ 2021)「タブーの室礼」(ワコールスタディホール京都 / 2019)。
Valentin Gabelier(バロンタン・ガブリエ)
2021年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程構想設計専攻単位取得退学。 2016年EESABレンヌ(フランス)美術学校学修士修了。パフォーマンス、インスタレーション、ビデオ、サウンドを主な媒体としながら「声」を通して世界と私たちの狭間にある異なる関係性を研究している。私たちが持つアイデンティティのひとつでもある「声」のその不安定で多様性があり曖昧な存在という特徴によって生まれる個人という概念の解体・分裂・多様化に着目している。「Chorós」(Baléapop#10/フランス/2019)。グループ展「PARTITION―パーティション」のキュレーションと出展(京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA /2018)。