開催情報
【期間】2014年8月28日(土)〜 -9月7日(日)【料金】無料
http://gallery.kcua.ac.jp/exhibitions/20140726_id=2703#ja
会場
会場名:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAwebサイト:http://www.kcua.ac.jp/gallery/
アクセス:〒604-0052 京都市中京区油小路通御池押油小路町238-1
(堀川御池ギャラリー内)
電話番号:075-253-1509
開館時間:11:00〜19:00(入館は18:45まで)
休館日等:月曜日(祝日の場合火曜日休み)
概要
学生と教員の関係から生まれる学びの足跡を、作品を通して紹介する「ARTであしあと」の第5回は、本学芸術資料館の収蔵品より、本学の前身である京都市立美術工芸学校図案科卒業作品の中から、明治末期より昭和戦前期までの間に制作された室内装飾に関わる作品を選び展示します。本学の前身にあたる京都府画学校に、意匠図案の専攻ができたのは明治21年のことです。最初は応用画学科と呼ばれていましたが、校名改称、組織変更を繰り返し、明治32年にようやく図案科という名称に落ち着きました。もともと京都府画学校は、染織や陶磁器などの地域産業の振興を期待して生まれたものでしたが、当初の教育は画家を育てることに偏重してしまい、周囲の期待に応えるには時間がかかりました。まだ工芸は美術の一部というより産業の一部と捉えられていたのです。
初期の図案教育が、日本画家である谷口香嶠(1864-1915)によって行われていたことを見ても、京都という地域が持つ保守的な美意識をうかがうことができますが、日本絵画と意匠図案という教育の柱は、美術工芸学校への組織改編の中で明確に意識されるようになりました。そして神坂雪佳(1866-1942)や古谷紅麟(1875-1910)ら図案を専門とする教員が教鞭を執るようになり、学外とも連携した美工会のような図案家の組織も生まれ、この時期学校と社会は比較的円滑な協力体制を築くことに成功しています。
美術工芸学校の図案科は、長い歴史の中で伝統産業の分野に多くの人材を送り出しました。しかし、その教育は図案意匠の制作に特化しており、実制作に結びつく教育は、地域の工房にゆだねていました。京都に根付いた分業体制の中でこの図案教育は展開したのです。結果として図案家の活動は見えにくくなり、今日ではその足跡が辿れない人も少なくありません。
ここに展示する卒業作品は、明治大正期の高い天井を持つ建築の室内空間を意識して考案された壁面装飾品の意匠です。学生の頭の中には、琳派や友禅や西陣など近世以来の京都の工芸意匠と、アール・ヌーヴォーやアール・デコといった輸入されたばかりのモダンデザインが混在しており、葛藤しながらも若々しい大胆さで挑戦した成果を見せてくれます。少し懐かしい気分の漂う空間を、皆様どうぞごゆっくりご鑑賞ください。