開催情報
【作家】林葵衣【期間】2020年3月13日(金) ─ 2020年3月29日(日)
【開館時間】11:00〜19:00 (金曜日のみ20:00まで)
【休館日等】月曜
【料金】入場無料
http://www.galleryparc.com/exhibition/exhibition
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会場
会場名:Gallery PARCwebサイト:http://galleryparc.com/
アクセス:604-8165 京都市中京区烏帽子屋町502 2F-4F
電話番号:075-231-0706
概要
2013年に京都造形芸術大学修士課程を修了した林葵衣(はやし・あおい / 1988年・京都府生まれ)は、学部在学中より現在まで、オブジェや平面、映像やパフォーマンスなど、多様なマテリアルやメディアを用いた作品制作・発表に取り組んでいます。しかし、これまでのおもな作品を見返した時、その多くに「文字・言葉」を要素としたものがあることに気づきます。たとえばアルファベットスタンプによって「R・E」の文字が無数に複製・反復される「RE」シリーズ作品は、身体が起こす反復のズレによる秩序と混沌が綯い交ぜとなった画面が現れるもので、「RE(繰り返し)」が繰り返されることでその「文字・言葉」としての意味が解体・消失されていくとともに、そこに新たなイメージが再構築されます。「C・M・Y・K」や「R・G・B」がそれぞれの色で一文字ずつスタンプされたガラス板は、その組み合わせによりそれぞれ言葉・意味・イメージに再構築することができますが、同時にそれらはひとつに一元化されることなくズレ続ける関係を見せます。とりわけこれらの作品は、文字と言葉の狭間にある「記号」という性質に着眼したものであり、記号はそこに意味とイメージを残しながらカタチとしても扱われることで、鑑賞者に分解と再構築を促します。また、場や人に紐づく記憶から起こしたテキストを、口紅を塗った唇を支持体に押し当てて発話し、そこに運動の痕跡を記録する《唇拓》は、「文字・言葉」を「書く:読む:聞く:見る」という身体・行為へと分断・還元することで、そこに起こる伝達と変容の体験を鑑賞者に促します。
林は「文字・言葉」への興味を始点に、現在は身体や記録、行為に注目した作品に取り組んでいます。また、これまでの作品はこの一連の流れの中で、都度の興味や好奇心を寄せて制作されたものであり、これらの作品は制作された時の林の身体・行為の記録でもあるといえます。本展は2008年から2020年までの林の作品に、新作を加えた展示となります。これは、「現在」の作品を始点に、過去作品をその時々の自身の記録として、それらを「譜面のようなもの」として、今一度読み直してみる機会として設定されます。
過去の作品を一旦は意味や文脈からズラし、現在の身体でなぞることでそこから何を取り出すことができるのでしょうか。これまでの林の作品を概観するだけでなく、現在とこれからへの眼差しを伺い知ることができるこの機会をぜひお楽しみください。