開催情報
【作家】オサム・ジェームス・中川
【期間】2013年11月22日(金)~12月14日(土)
【料金】無料
http://jidainoseishin02.wordpress.com/
会場
会場名:ギャルリ・オーブ
webサイト:http://aube.kyoto-art.ac.jp/
アクセス:〒600-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
京都造形芸術大学人間館1F
電話番号:075-791-9122
開館時間:10:30~18:30
休館日等:-
概要
このたび京都造形芸術大学では、「時代の精神展」第二回展覧会として、オサム・ジェームス・中川写真展「沖縄―オキナワ―OKINAWA」を開催いたします。
日本最南端に位置する沖縄県は大小160の島々からなり、15世紀ここに成立した琉球王国は、400年あまりにわたって海洋国家として大きな発展を遂げました。珊瑚礁や原生林をはじめ、貴重な動植物をはぐくむ生態系の宝庫でもあります。沖縄を訪れれば、誰もがその類い稀な文化と自然の豊かさに目を見張らされることでしょう。
しかしこれらの島々は17世紀以降、日本によって侵攻・支配を受け、明治政府によって沖縄県設置を強行されたという苦しい歴史があります。さらに第二次世界大戦末期には日米両軍間の壮絶な地上戦の舞台となり、10万人以上もの住民が犠牲となりました。今もなお在日米軍基地の7割以上が沖縄に集中しているという現状にも明らかなように、沖縄は日本とアメリカによって繰り返し翻弄され、深く傷つけられてきたのです。
アメリカを拠点に活躍するオサム・ジェームス・中川は、初めて沖縄を訪れた際、その美しい風景と、凄惨を極めた歴史とのギャップに大きな衝撃を受けました。この展覧会は、そこで着手された3つのシリーズから構成されています。沖縄戦で追い詰められた多くの住民が身を投げた断崖絶壁を、人の目を超える高解像度で描いた「バンタ」。住民の信仰に深く結びつきながらも戦時中には病院や防空壕、さらには集団自決の場となった洞窟を、長い時間をかけてとらえた「ガマ」。今なお沈黙のうちに存在する戦争の痕跡を見つめた「リメインズ」です。それぞれ世界的に高い評価を受けてきましたが、沖縄をめぐる三部作としてこれらが一堂に集められるのは、今回が初めてのことです。
中川自身はアメリカと日本という二つの国にアイデンティティをもち、沖縄と同様に両者の間でつねに揺れ続けてきました。しかも沖縄出身の妻をもつ彼にとって、沖縄を見つめることはまさに自分自身と向き合うことでもあります。その意味でも、これらの作品は客観的な記録というよりも、作家と沖縄との個人的な対話から生み出されたイメージだと言えるでしょう。そこには、目に見えない記憶を想像力によってなんとか可視化させようとする、作家の強靱な姿勢がうかがえます。
この展覧会では、鎮魂歌のように沖縄へ捧げられたこれらの作品を前にして、まずは一人ひとりがゆっくりと想像力を膨らませることから始めたいと思います。そうやって生み出された想像が、沖縄で傷ついたり失われたりした膨大な命だけではなく、数多の悲劇をもたらした国や社会のありようへと私たちの思考を導き、さらには未来へ向けた多様な対話を導くことを願ってやみません。
※「時代の精神展」とは
現実の複雑な様相と根気づよく向きあい、作品を制作しようとする学生を段階的に育成することを目指して、京都造形芸術大学が 2010 年度に立ちあげたプログラムです。世界の様々な問題に取り組む アーティストとの協働により、展覧会やワークショップなどを展開してゆきます。
イベント、その他
オープニング・レセプション(ギャルリ・オーブ)
日時:2013年11月22日(金) 18:00〜
トークセッション「『沖縄―オキナワ―OKINAWA』展をめぐって」(人間館一階@カフェ)
日時:2013年11月23日(土) 13:00〜15:30
第一部 アーティスト・トーク
第二部 ディスカッション
ゲスト:仲里効(映像批評家)
出演:オサム・ジェームス・中川(写真家)
椿昇(京都造形芸術大学教授、現代美術作家)
進行:竹内万里子(京都造形芸術大学准教授、批評家)
●時代の精神展第二期生による連続レクチャー「私たちに沖縄はわからない?」
第1回 11.28(木) 17:00〜(人間館301)
石田香澄「米軍基地返還後の土地の現状」/早瀬道生「日韓における米軍基地事情」
第2回 11.29(金) 18:30〜(人間館401)
川崎由真「沖縄における苗字」/蒲原早奈美「沖縄と建築」
第3回 12.5(木) 17:00〜(人間館301)
金田奈津実「変わりゆく長寿国、沖縄」/阿部のえる「移民からみる沖縄」
第4回 12.6(金) 18:30〜(人間館401)
虎岩慧「沖縄のユタ」/町田和歌子「沖縄における信仰のあり方」
第5回 12.12(木) 17:00〜(人間館301)
松本杏菜「映画からみる沖縄」/高山侑「いつから沖縄はリゾート地になったのか?」
クロージング・トーク「まおの勝手におしゃべり 京都編」(人間館401)
日時:2013年12月13日(金) 18:30〜
第一部 ゲストによるレクチャー
第二部 ゲストとのディスカッション
ゲスト:石川真生(写真家)
聞き手:時代の精神展第二期生一同
以上すべて入場無料、事前予約不要
プロフィール
オサム・ジェームス・中川(Osamu James Nakagawa)
写真家。1962 年米国ニューヨーク市生まれ。ヒューストン大学修士課程修了(写真学)。1996 年よりインディアナ大学准教授。1980 年代より本格的に写真制作を開始し、90 年代より世界各地で数多くの個展・グループ展に参加。日米二カ国にまたがる自身のアイデンティティを踏まえて様々な作品を制作、発表してきた。主な受賞歴に第一回東京国際写真ビエンナーレ第2位、グッゲンハイム奨学金、第26 回東川賞新人賞など。主な作品収蔵先にメトロポリタン美術館、ジョージ・イーストマン・ハウス、コーコラン美術館、ヒューストン美術館、クライスラー美術館、東京都写真美術館、清里フォトアートミュージアム、佐喜眞美術館など。現在、米国在住。
osamujamesnakagawa.com