• 2014年12月06日

開催情報

【作家】
岩橋悠帆、寒川顕一、鬼頭 祈、辰巳直子、西川歩実、長谷川早由、山﨑千智
【期間】2015年1月10日(土)〜2015年2月1日(日)
【料金】無料
http://artzone.jp/?p=1640

会場

会場名:ARTZONE
webサイト:http://www.artzone.jp/
アクセス:〒604-8031 京都市中京区河原町三条下る一筋目東入る大黒町44 VOXビル1・2階
電話番号:075-212-9676
開館時間:平日 13:00〜20:00 / 土日祝 12:30〜20:00
休館日等:無休

概要

私は、大学で芸術を学ぶ中で一つふと疑問を持った。それは「日本画とは何か」だ。大学でペインティングをしている学科は「日本画」と「油画」で分かれている。「油画」は納得しやすいネーミングである。油絵の具で書いた絵画であるから「油画」。なんとも明確である。それでは「日本画」と聞いて思い浮かべるのはどんな絵画だろうか?膠・岩絵具といった素材で出来た絵画だろうか。もしくは大学で「日本画」を学んだ人が描いた絵画だろうか。それとも日本で描かれた絵画が「日本画」なのか。
私はそのいかにも美術初心者の疑問に答えるべく、日本画という言葉の歴史を調べた。そうすると明治の初期に、国策として美術制度を整える過程によって「洋画」(=油画)と区別するために作られた言葉だということがわかった。しかし、それは私の疑問の完璧な答えではなかった。「日本画」という言葉が、元は制度として定められたものという「事実」はわかった。しかし。今私達が見ている「日本画」と呼ばれている絵画そのものは、何なのかという疑問は残ったままである。制度として決められた日本画が、どのように変化し今に至るのか。
本展覧会「edit:ver.2.0」は、私がそんな疑問を持つ中で出会った作家の展覧会だ。岩橋悠帆、寒川顕一、鬼頭 祈、辰巳直子、西川歩実、長谷川早由、山﨑千智の7名は皆2013年度の京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コースの卒業生だ。彼らは卒業展示で自ら”edit”というグループを組んだ。そして一つの広い部屋をグループ展という形に作り上げていた。他の日本画コース卒業生の展示では蛍光灯で照らされた教室にタブローが置かれていた。しかし、“edit”の展示空間は、蝋燭の灯を彷彿とさせる温かい光りに照らされ、薄暗いと感じる程に照明を抑えていた。そして、大きな教室を個人で完全に区切るわけでもなく、有機的にそれぞれの作品がつながるようになっていた。作品も異質なものばかりであった。大学の日本画教育を受け一度は岩絵の具に触れている彼らの卒業制作は、私が持つ(そしておそらく一般の人々が持つ)従来の日本画のイメージとはかけ離れたものばかりだった。素材をとってみても、墨・刺繍糸、アクリル絵の具と幅広い。そして支持体もキャンバスだけでなく段ボールを使っているものもいる。そして「日本画」コースでありながらアニメーションを制作しているものもいた。
私はこの展示を見た時に、冒頭の疑問と彼らの表現が繋がったような気がした。「日本画」を学びながら、従来の日本画感にとらわれない作品・展示を作る”edit”。彼らと関わりあうことで、自分の持つ「日本画とはなにか」の回答に迫れると思った。
彼らの展示空間入り口に掲げられた文章では

私たちは、「日本画」について4年間の学びを噛み砕き、
それぞれに[edit=再編集]させてゆく。
表現したいかたちに合わせ、素材を変え、モチーフを変え、展示空間を変えてゆく。
「敷居の高いもの」「難しいもの」「上手いか、下手かというもの」、
そんな美術に対する価値観に、わたしたちは寂しさを感じている。
(中略)
本展示は、4年間の集大成である卒業制作展と同時に、
チーム[edit]としてのはじまりである。それぞれの「日本画についての再編集」を、そして更に「美術のあり方についての再編集」を考え、提示してゆきたい。

とある。
「日本画」について考え、現在の日本の美術のイメージに問題意識を持って、表現している作家と。かたや「日本画とはなにか」について考えていた私。両者が共に展覧会をつくり記録することによって、現在の「日本画」というシステム、拡大して言えば日本美術、更には美術そのものに一石を投じることかできるのではないかと考えた。
現在わたしたちは、その問に答えをだすべく学び、制作を行っている最中である。今回、ARTZONEで行う展覧会は、卒業展示からちょうど一年たつ。その間に作家は表現の変化もあるだろうし、そもそもの「日本画」への意識も違ってきているかもしれない。展覧会企画者である私も「日本画」に対するイメージ・考えは少しずつ変わってきていると思う。しかし、「日本画とはなにか」に納得の行く回答は出せていない。よって今回の展覧会は対する現段階での提示でしかない。しかし、この段階で提示することで、間違いなく今私達が疑問を持ち考えている行為そのものは残せるのではないかと思っている。最終的に、その疑問に対する明確な答えは出ないかもしれないし。もしかしたら、ないのかもしれない。しかしわたしたちは、その問に常に向き合っていこうと思う。
(耕三寺顕範)

イベント・その他

オープニングイベント
2015年1月12日(月・祝) 18:00~
作家によるトークイベント
2015年1月24日(土) 18:00~