GLOBAL ART TALK 033「空白の時を位置づける(キュレーションの諸問題)」by ホー・ツーニェン(アーティスト)
軍事スパイやゴーストライター、民話に登場する妖怪など、歴史の舞台裏に潜む空疎な存在に、スクリーンを通じてイメージの身体を与えるホー・ツーニェン。
近年発表された日本三部作《旅館アポリア》(2019年)、《ヴォイス・オブ・ ヴォイド-虚無の声》(2021年)、《百鬼夜行》(2021年)は、大きな話題となりました。
今回のトークは、日本で制作されたこれら3作品以外に目を向け、ホーの広大な芸術領域の枠組みに三部作を位置づけようとする試みです。
焦点となるのは、 アルゴリズムによる動画データベースのオンラインプラットフォーム《CDOSEA(東南アジア批評辞典)》(2017年~、https://cdosea.org/)と、許家維と共同でキュレーションを行った第7回アジア・アート・ビエンナーレ(マレビトの出会いと知恵の贈り物を待つ「山海の彼方からの見知らぬ人」がテーマ)。
この構成には、時間の概念と知覚をめぐるホーの哲学的関心が含意されており、異なるメディアの時空間に「歴史」をどう位置づけるのかの考察が行われます。それは、キュラトリアル実践における問いでもあります。
概要
日時:2022年7月2日(土)14:00〜15:30料金:無料(要申込み)
会場:京都芸術大学 人間館地下1階 映像ホール&オンライン・トーク
※会場は、本学学生・教職員に限ります。一般の方はオンラインでのご参加となりますのでご注意ください。
定員:500名
聞き手:大坂紘一郎
通訳:辻井美穂
*新型コロナウィルス感染症予防対策のため、一般の方の参加はオンラインのみとします。また、社会情勢により開催を中止することがございますので、ご了承ください。
主催:京都芸術大学大学院、一般社団法人HAPS
講師プロフィール
ホー・ツーニェン(アーティスト)歴史的、理論的なテキストとの関わりから始まる映像、インスタレーション、パフォーマンスを制作するアーティスト。近年の展覧会に、ハマー美術館(2022年)、豊田市美術館(2021年)、山口情報芸術センター(YCAM)(2021年)、エディット・ルス・ハウス・フォー・メディアアート(オルデンブルク、2019年)。
グループ展では、あいちトリエンナーレ(2019年)、第12回及び13回光州ビエンナーレ(2018年・2019年)、ベルリン・世界文化の家(HKW)での「2頭もしくは数頭の虎」展(2017年)など。台湾のアーティスト許家維とともに、国立台湾美術館で開催された第7回アジア・アート・ビエンナーレ「山と海を越えた異人」をキュレーション。2015年から2016年まで、DAADレジデントとしてベルリンに滞在。
申込み・お問合せ
お申込みフォームはこちら:京都芸術大学×HAPS グローバル・アート・トーク 033 申込フォーム
お問合せ先:GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp
GLOBAL ART TALK by KUA x HAPS
<現代アートで京都と世界をつなぐ>現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。
GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する一般社団法人HAPSの「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
京都芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。