Performance by Jian Jun Xi at Tha Pae Gate, 'Second Week of Cooperative Suffering', Chiang Mai, 1996. Photo courtesy Uthit Atimana.

GLOBAL ART TALK 016「祝祭性と現在性:東南アジアアートにみられる共通点」
デビッド・テ(インディペンデントキュレーター、シンガポール国立大学准教授)

グローバル・アート・トーク016では、シンガポールのキュレーター、デビッド・テさんをお招きして東南アジアの現代アートやフェスティバルの実態についてお話いただきます。
「現代アートおよびその歴史においてフェスティバルが開催される場所とは何を意味するのだろうか。今日のビエンナーレやトリエンナーレは、もはやフェスティバルとして認識することができるのだろうか。知名度の低い現代アートが徐々に地理的広がりをみせ、その周辺が『グローバル・マーケット』および『グローバル・アート・ヒストリー』を求める制度的欲求によって一掃されるにつれて、コミュニティや地域性、自発性と参加はどうなっていくのだろうか。今回のトークは、1980年代から90年代に東南アジアで開催されたアーティスト主導のフェスティバルに関する、私自身の近年のリサーチに端を発するものである。国家を代表することはグローバル・サーキットに参加するための一般的な通行証であった一方で、その通用性はもはや現在性を示す根本的な決定要因ではない。むしろ、この時期の東南アジア人アーティストの間に見受けられた共通点を決定づけたものは、国際性ではなく地域性であった。現在性を体現するこのような現場は、作品そのものというよりも、主に祝祭と儀礼の場所であった。このような現象は現代アートを学ぶにあたってどのような意味をもつだろうか。それは現代のグローバルな文脈において地域のアートを捉える私たちの理解をどのように変化させるものだろうか。」(デビッド・テ)

概要

日時:2019年6月8日(土) 19:00-20:30
会場:キャンパスプラザ京都第3講義室 ※会場が通常と異なります。ご注意ください。
http://www.consortium.or.jp/about-cp-kyoto/access
料金:無料(要申込み) 
定員:100名
※英日逐次通訳あり
主催:京都造形芸術大学大学院、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
チラシのダウンロード

講師プロフィール

デビッド・テ
キュレーター、シンガポール国立大学准教授。専門は東南アジアの現代美術。これまでに、Unreal Asia(第55回オーバーハウゼン国際短編映画祭 2009)、 Video Vortex #7(ジョグジャカルタ 2011)、 TRANSMISSION(ジムトンプソン・アートセンター、バンコク 2014)、 Misfits: Pages from a Loose-leaf Modernity(世界文化の家、ベルリン 2017)and Returns(第12回光州ビエンナーレ 2018)など数々の展覧会を手がける。Third Text、ARTMargins、Afterall、Artforumなどの美術ジャーナルにも積極的に寄稿している。2017年にはMIT PressよりThai Art: Currencies of the Contemporary、2018年にはAfterall Booksよりデビッド・モリスとの共著として展覧会史シリーズ Artist-to-Artist: Independent Art Festivals in Chiang Mai 1992-98 を刊行。

申込み・お問合せ

申込み・問い合わせ先:(GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp
*お申込みの際には、①氏名、②人数、③連絡先電話番号あるいはメールアドレス、④ご職業(学生の場合は大学名)を上記アドレスまでお送りください。京都造形芸術大学の学生の方は学籍番号も添えてください。

GLOBAL ART TALK By KUAD x HAPS 

<現代アートで京都と世界をつなぐ>
現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都造形芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。
*GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
*京都造形芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考作品

Lee Wen, Journey of a Yellow Man performance at Thammasat University, Bangkok, 15 October 1993 as part of 'Sense Yellow.' Photo: Koh Nguang How, courtesy Koh Nguang How.

Cover and last page, Wai art zine #2, 1996. Courtesy Thanom Chapakdee

Cover and last page, Wai art zine #2, 1996. Courtesy Thanom Chapakdee