ULTRA X HAPS TALK <現代アートで京都と世界をつなぐ>
現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
 京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか? 京都造形芸術大学とHAPS共催による「ULTRA×HAPS TALK」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。
① ULTRA×HAPS TALKは、若手芸術家を応援する東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
② ULTRAは、超越的なクリエイティビティを求める京都造形芸術大学の「ウルトラファクトリー」に倣っています。
③ 京都造形芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

概要

日時:2016年7月20日(水) 19:00-20:30
会場:ロームシアター京都 ノースホール http://rohmtheatrekyoto.jp
* 英日逐次通訳あり
料金:無料(但し、要申込み)
定員:100名
主催:京都造形芸術大学大学院、東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
クリッティヤー・カーウィーウォン(ジム・トンプソン財団、ジム・トンプソン・アートセンター芸術監督、タイ)
『チェンマイ・ソーシャル・インスタレーションとその背景』
ULTRA×HAPS TALK 001では、1990年代初めにタイ東北部チェンマイで実施された、アーティスト主導のパブリックアート・プロジェクト「チェンマイ・ソーシャル・インスタレーション(CMSI)」を、その社会的、政治的背景とともに紹介します。中心になったのは先進的な思想を持ったアーティストとチェンマイ大学芸術学部の教授陣で、モンティエン・ブンマー、ウティット・アティマナ、ミット・ジャイイン、アラヤー・ラートチャムルーンスック等を中心に、当時学生だったナウィン・ラワンチャイクン、タワッチャイ・パンサワッドなども参加しています。この草の根的な運動は続く三世代にわたるタイの芸術運動の素地を築き、国内外のアーティストや知識人のコミュニティを超えて広く社会に関わりましたが、1990年代末には失速します。CMSIはタイのアートシーンとその周辺に何を残したのか、その実態を探ります。

プロフィール

クリッティヤー・カーウィーウォン
1996年にバンコクでオルタナティブ・スペース「プロジェクト304」を創設。現在、ジム・トンプソン・アートセンター芸術監督。冷戦以降のタイを中心にした東南アジア地域の社会的変革とそれに対峙するアーティストの実践に取り組んできた。企画した展覧会に「アンダー・コンストラクション:アジア美術の新世代」(2000-2002年、国際交流基金/東京オペラシティアートギャラリー)、「ポリティクス・オブ・ファン」(2005年、ベルリン世界文化の家)、「サイゴン・オープン・シティ」(2006-07年、ベトナム、リクリット・ティラヴァーニャと共同企画)。今年7月にはチェンマイの新しい現代美術館MAIIAMで「アピチャッポン・ウィーラセタクン:狂気の晴朗」を企画。

予約・お問合せ

申込み・問い合わせ先:ULTRA_HAPS@office.kyoto-art.ac.jp
*お申込みの際には、①氏名、②人数、③連絡先電話番号あるいはメールアドレス、④ご職業(学生の場合は大学名)を上記アドレスまでお送りください。