2019〜2020年度「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業 モデル事業」の一環として制作された山本麻紀子さんの作品が展示されます。

概要

「あ、共感とかじゃなくて。」

会期:2023年7月15日(土)~ 11月5日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 B2F
休館日:月曜日、7月18日、9月19日、10月10日(7月17日、9月18日、10月9日は開館)
開館時間: 10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
料金:一般 1,300 円/大学生・専門学校生・65 歳以上 900 円/中高生 500 円/小学生以下無料
出展作家:有川滋男、山本麻紀子、渡辺篤(アイムヒア プロジェクト)、武田力、中島伽耶子
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/empathy/

東京都現代美術館では、家族や友人との人間関係や、自分のアイデンティティを確立する過程に悩むことも多い10代のこどもや若者に向けて、答えのない問いを考え続けることを提案する展覧会「あ、共感とかじゃなく て。」展を開催いたします。「共感」とは、自分以外の誰かの気持ちや経験などを理解する力のことです。相手の立場に立って考える優しさや配慮は、社会を円滑に回すために必要なスキルであり、教育でもビジネスでも、近年その重要性が強調されています。しかし誰しも、安易に共感されたくない時、共感したくない時があります。 誰かに訳知り顔で「あなたの気持ちは分かるよ」と言われると、自分の感情を軽く見られたような気がしたり、「この気持ち分かってくれるよね?」と共感を同調圧力で強要されると違和感を覚える人もいるでしょう。本展では、共感をしなくても大丈夫だよ、というメッセージを込めて、「あ、共感とかじゃなくて。」という言葉を 10代の人達に手渡したいと考えます。
この展覧会では、有川滋男、山本麻紀子、渡辺篤(アイムヒア プロジェクト)、武田力、中島伽耶子の5人のアーティストの作品を紹介します。彼らの作品は、知らない人、目の前にいない人について考え、理解しようと試みるものです。安易な共感に疑問を投げかけるものもあれば、深い理解を通じて共感にたどり着くものもあります。鑑賞する私達も、「この人は何をしているんだろう?」「あの人は何を考えているんだろう?」という疑問を持つでしょう。その答えは用意されているわけではなく、考え続けるしかありません。共感しないことは拒絶ではなく、新しい対話や思考の可能性を開くことと考えます。
この展覧会を通して、10代はもちろん大人たちにも、すぐに結論を出さずに考え続ける面白さを体験してほしいと思います。
(主催者)

 

出展作品について

山本麻紀子《崇仁小学校で眠る》2020年 撮影:片山達貴 写真提供:一般社団法人HAPS「京都市 文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業 モデル事業」

HAPSは2017年度よりアートと共生社会をテーマに、文化芸術の力を活用して多様な背景を持つ人々が共に生きることのできる社会のあり方を探り、その仕組みづくりを目指す事業を実施しています。2019年度からは「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業 モデル事業」として、崇仁・東九条とその周辺地域を中心にプロジェクトを行い、「多様な人と人がともに生きていく」「世界の中で、人や、人だけでない様々なものがともに生きていく」在り方を、表現を通してアーティストとともに模索しています。
2019-2020年度にはモデル事業として、アーティストの山本麻紀子さんが「巨人の歯と眠り」「糸と布染め」「崇仁すくすくセンター(挿し木プロジェクト)」の3つの取組みを行いました。中でも「崇仁すくすくセンター(挿し木プロジェクト)」は、京都市立芸術大学移転等の新たなまちづくりによって大きく変化する崇仁地域にて、まちと共にあった崇仁小学校、崇仁市営住宅、崇仁保育所などで命を育んできた樹木の挿し木を試み、地域住民とともにその成長を見守り、土地の記憶や人の繋がりを継承しながら、いずれしかるべき場所に木を地植えして返すことを目指すプロジェクトです。
2021年度より体制を変更し、山本さんが中心となって崇仁すくすくセンター実行委員会を立ち上げ、主に、崇仁デイサービスうるおいの皆さんとの活動を中心に、様々な方との関わりを創りだしながら進めています。

詳細は「2020年度 京都市 文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業 報告書」をご覧ください。
http://haps-kyoto.com/wp-content/uploads/report/hapskyoseireport2020.pdf

 

プロフィール

山本麻紀子(やまもと まきこ)
1979年京都府生まれ。2005年京都市立芸術大学大学院絵画専攻構想設計修了。ある特定の場所のリサーチを通して観察や考察を続け、その場所に関わる人たちとのコミュニケーションを生み出しながら活動を行う。その一連の過程を、絵、写真、映像、染め、刺繍など様々な形式に展開させて作品制作を行っている。主な展示に水戸芸術館「クリテリオム 84 Mending Mito」(2012年)、東京都庭園美術館「装飾は流転する」(2017年)、京都市下京区でのプロジェクト「崇仁すくすくセンター(挿し木プロジェクト)」(2020年~)など。滋賀県在住。