Ah my beautiful Venus! (2017) from the series Fragments (2016-ongoing)

GLOBAL ART TALK 037「スペース、ストーリー、シチュエーション」by ライアン・タベット(アーティスト)

「2006年9月1日金曜日の朝、マンハッタンのサード・アベニューとセブンス・ストリートの交差点にあるショップにコーヒーを買いに行った。オーダー待ちをしている間、誰かがカウンターにニューヨーク・タイムズのコピーを忘れていることに気づいた。一面に掲載されていた写真には、ベイルート各地から集められた瓦礫でいっぱいのトラックがそれらを海に投棄してゴミの山をつくるために海岸に向かっている様子が写っていた。そしてその側には、人気の観光地で自然のシンボルにもなっているベイルートのランドマーク、ピジョン・ロックスをとりあげた看板が立っていた。写真のキャプションにはこう記されていた『レバノンの戦地から流れてきた瓦礫の川』。店を出る際、私はその紙面を手にその場を離れた。」(ライアン・タベット)

過去15年に渡って、ライアン・タベットは偶然の出会い、地政学的な出来事そして物をつくりあげていくこととの間の関係性を探求する作品を制作してきました。今回のグローバル・アート・トーク037ではそのプロセスを反映させつつ、彫刻とストーリー・テリングにまつわる彼の関心に論点を広げていきたいと思います。

概要

日時:2022年12月20日(火)19:00 〜 20:30
料金:無料(要申込み) 
会場:京都芸術大学 人間館地下1階 映像ホール&オンライン・トーク
※会場は、京都芸術大学学生・教職員に限ります。一般の方はオンラインでのご参加となりますのでご注意ください。
定員:500名
司会:大坂紘一郎
通訳:中山慶

*新型コロナウィルス感染症予防対策のため、一般の方の参加はオンラインのみとします。また、社会情勢により開催を中止することがございますので、ご了承ください。

主催:京都芸術大学大学院、一般社団法人HAPS

講師プロフィール

ライアン・タベット(アーティスト)
ベイルートとサンフランシスコを拠点に活動。自身の経験とリサーチに基づきながら、個人的なナラティブを通して、主な社会政治的出来事についてのオルタナティブな見解をもたらすストーリーを探求している。建築と彫刻の知見を基盤に、物理的かつ時間的な距離の認識を再構成するインスタレーションによって、構築環境とその歴史のパラドックスを紐解く。近年、ウォーカー・アートセンター、ストアフロント美術建築ギャラリー、メトロポリタン美術館、パラソルユニット現代美術財団、ルーブル美術館、ニームのカレダール、ハンブルグのクンストファーレン、メリー美術館(旧ヴィッテ・デ・ヴィット現代美術センター)で個展を開催。彼の作品は、第80回ホイットニー・ビエンナーレ、第7回横浜トリエンナーレ、第2回ラホール・ビエンナーレ、マニフェスタ12、第21回シドニー・ビエンナーレ、第15回イスタンブール・ビエンナーレ、第32回サンパウロ・ビエンナーレ、第6回マラケシュ・ビエンナーレ、第10回・第12回シャルージャ・ビエンナーレ、第2回ニュー・ミュージアム・トリエンナーレでも特集展示が組まれている。

申込み・お問合せ

お申込みフォームはこちら: 
京都芸術大学×HAPS グローバル・アート・トーク 037 申込フォーム
お問合せ先:GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp

GLOBAL ART TALK by KUA x HAPS 

<現代アートで京都と世界をつなぐ>

現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。

GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する一般社団法人HAPSの「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
京都芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考画像

Deep Blues (2021)

Steel Rings (2013-ongoing) from the series The Shortest Distance Between Two Points (2007-ongoing)

100 Civic Questions (2022) from the series Becoming American (2020-ongoing)