マーシャル諸島戦没者の日本人遺族 撮影:グレッグ・ドボルザーク

GLOBAL ART TALK 028「ELEPHANTS IN OUR LIVING
ROOM:太平洋諸島の人々の抵抗、回復力、そして連帯ー日本およびアメリカ帝国をこえて」byグレッグ・ドボルザーク(早稲田大学教授、インディペンデントキュレーター)

今回の公開講座では、オセアニア(特にミクロネシア)における日本の植民地・軍事的遺産がほとんど処理されていないことを論じるとともに、日本列島の先住民族コミュニティの現状について私が以前に行った研究を再考します。日本帝国の「亡霊」と、アメリカ帝国が現在進行形でとる主導的地位との絡み合いは、アジア太平洋地域に複数ある植民地化・軍国化された経験をもつ共同体をつなぐ障壁となっています。しかしながら、気候変動対策活動、核問題、脱軍事化、脱植民地化をめぐっては、大洋を越え力や知恵を出し合うネットワークが、徐々に拡大しています。来るべきポストCOVID-19時代に向け私たちのあるべき姿の提案や、地域を超えて共有される関心事を交えながら、太平洋諸島の現代史を論じるとともに、北オセアニア、沖縄、アイヌモシリでの近年の私の研究から得られたいくつかの見解を紹介します。(グレッグ・ドボルザーク)

概要

日時:2021年7月3日(土)18:30〜20:00
料金:無料(要申込み) 
定員:500名
*新型コロナウィルス感染症予防対策のため、オンラインでのトークといたします。また、社会情勢により開催を中止することがありますのでご了承ください。
*英日逐次通訳あり

主催:京都芸術大学大学院、一般社団法人HAPS
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講師プロフィール

グレッグ・ドボルザーク(早稲田大学教授、インディペンデントキュレーター)
早稲田大学国際学術院(国際コミュニケーション研究科・国際教養学部兼任)にて太平洋・アジア文化研究の教授を務める。マーシャル諸島、米国そして日本で過ごした後、主にポストコロニアルメモリー、ジェンダー、ミリタリズム、レジスタンス、そしてオセアニア地域のアートについて教鞭をとり、研究活動を行っている。アートや学術領域における草の根ネットワーク「プロジェクト35(さんご)」の創設者であり、第10回アジア太平洋トリエンナーレの北オセアニアアートフォームの共同キュレーターや、ホノルルビエンナーレなど他の展覧会のアドバイザーとしても活躍している。その他の出版物としては、2018年にハワイ大学出版より上梓した『Coral and Concrete: Remembering Kwajalein Atoll between Japan, America, and the Marshall Islands』がある。

申込み・お問合せ

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京都芸術大学×HAPS グローバル・アート・トーク 028 申込フォーム
お問合せ先:GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp

GLOBAL ART TALK By KUA x HAPS 

<現代アートで京都と世界をつなぐ>
現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。
GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する一般社団法人HAPSの「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
京都芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考画像

解放記念日の山車(グアムにて) 撮影:グレッグ・ドボルザーク

エネウェタック環礁のルニットドームの上に立ったアーティスト、キャシー・ジェトニー・ル・キジナー氏。作品「Anointed」の制作中に。撮影:ダン・リン