HAPSは2017年から、文化芸術の力を活用して、共生社会の実現をめざす事業をおこなってきました。本年度は京都市「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業」の一環として、さまざまな課題に取り組む先進事例を紹介する、連続講座「文化芸術による共生社会実現のためのアーツマネジメント入門」を開催いたします。これは、アートを通じて社会課題に向き合う実践者や研究者のお話をお伺いするとともに、アートの現場における労働や倫理の問題についても考えていくものです。皆様のご参加をお待ちしています。
講座概要
本講座では2つの項目に着目します。一つは「スキル」であり、もう一つは「とらえ方」です。座学ですから、実践の場での学びとは異なりますが、共生社会にアプローチするためのマネジメントのスキルは重要です。課題や困難に遭遇した時、それをどう乗り越えて当初の目的を実現するのか。そのプロセスを講座では丁寧に話していただきます。また、現在の社会をどのように見るのか、どのように変えていきたいのか、といった大きな視点も重要です。障がいをもつ人たちや災害の現場だけではなく、普通の日常の中にも目に見えぬ問題点が潜んでいます。「とらえ方、見方を変える」のは、アートだからできる領域です。そして皆さんに期待したいのは、この講座を受講することによって、どんな場所でもいいので、アーツマネジメント実践の第一歩を踏み出していただきたい、ということです。中川眞(本事業ディレクター)
※すべて参加費無料、要申込。
[dropcap color=green]1[/dropcap] 第1回講座:「眼差しのパイオニアをつくる基礎と未来」※終了しました
日時:2019年7月17日(水)19:00~21:00
会場:キャンパスプラザ京都 4階第4講義室
定員:90名
講師:奥山理子
[dropcap color=green]2[/dropcap] 第2回講座:概論+トーク「芸術実践と人権-マイノリティ、公平性、合意について」※終了しました
日時:2019年7月27日(土)13:30~16:15
会場:京都精華大学 明窓館2階 201教室
定員:500名
講師:小泉明郎/遠藤水城/あかたちかこ/山田創平
[dropcap color=green]3[/dropcap] 第3回講座:講座+トーク「ローカリティと芸術実践 アーツ前橋『表現の生態系』展の事例より」※終了しました
日時:2019年8月31日(土)13:30~16:00
会場:京都精華大学 明窓館2階 201 教室
定員:500名
講師:住友文彦/今井朋/石倉敏明/山田創平
[dropcap color=green]4[/dropcap] 第4回講座:まともがゆれる —常識をやめる「スウィング」の実験※終了しました
日時:2019年10月31日(木)19:00~21:00
会場:京都芸術センター ミーティングルーム2
定員:40名
講師:木ノ戸昌幸
演劇、祇園のスナック、遺跡発掘、福祉施設勤務などを経て障がい者福祉施設「スウィング」を設立した木ノ戸さんに、既存の障がい福祉の枠を超えた創造的実践についてお話しいただきます。
[dropcap color=green]5[/dropcap] 第5回講座:日常使いの現代美術 ※終了しました
日時:2019年12月13日(金)19:00~21:00
会場:京都芸術センター ミーティングルーム2
定員:40名
講師:滝沢達史
音楽が音楽家だけのものでないように、現代美術も鼻歌のように口ずさんでみれば意外と簡単。日々の生活に役立つ美術の使い方をお教えします。(滝沢達史)
[dropcap color=green]6[/dropcap] 第6回講座:芸術と労働 ※終了しました
日時:2020年1月11日(土)13:30〜16:30
会場:京都精華大学 黎明館・2F L-201
定員:200名
講師:伊藤まゆみ/三輪晃義/山本麻友美/吉澤弥生/渡邉朋也
進行:ほんまなほ
アートマネージャー、労働問題の専門家らが集まり、アートの現場での「労働」の実態を共有し、理想的な働き方やよりよい労働環境の創出について議論します。
13:30~ 第1部
レクチャー①「芸術労働の現状」 講師:吉澤弥生
レクチャー②「労働法について知る」 講師:三輪晃義
14:25~ 第2部
クロストーク「労働組合とキャリアデザインの話」 ゲスト:山本麻友美/伊藤まゆみ/渡邉朋也
15:15~ 第3部
来場者とゲストによるフォーラム「労働者としての私たちと芸術」 進行:ほんまなほ
[dropcap color=green]7[/dropcap] 第7回講座:共有空間の獲得 ※終了しました
日時:2020年2月13日(木)19:00~21:00
会場:京都芸術センター ミーティングルーム2
定員:40名
講師:小山田徹
美術家で「アートスケープ」や「ウィークエンドカフェ」などを立ち上げてきた小山田さんに、多様な背景を持つ人々が出会い、語り合う「共有空間」の作り方についてお話しいただきます。
【主催】東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
【共同開講】京都精華大学 「LGBTQ をはじめとするマイノリティの社会包摂を視野に入れたアートマネジメント・プロフェッショナル育成プログラム」(第2、3回)
【デザイン】松見拓也
本事業は、京都市「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業」として実施しています。
お申込み・お問合せ
東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)※各講座の申込みフォーム、Eメール、FAX、電話いずれかの方法によりお申込みください。
お申込みの際は、①受講希望の講座名/②氏名(ふりがな)/③電話番号/④メールアドレス/⑤年齢(~代)/⑥受講動機/⑦今後本事業関連の情報を希望するか をお伝えください。
Eメール:info@haps-kyoto.com/TEL:075-525-7525/FAX:075-525-7522
講師プロフィール
[toggle title= プロフィールはこちら color=white] ●奥山理子(おくやま りこ)/みずのき美術館キュレーター母の障害者支援施設みずのき施設長就任に伴い、12歳より休日をみずのきで過ごす。施設でのボランティア活動を経て、2012年みずのき美術館の立ち上げに携わり、以降企画運営を担う。アーツカウンシル東京「TURN」コーディネーター(2015-2018)、東京藝術大学特任研究員(2018)を経て、2019 年より、HAPSの「文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業」に参画。
●小泉明郎(こいずみ めいろう) /美術家
ロンドンのチェルシー・カレッジで映像表現を学び、ニューヨーク近代美術館をはじめ、国内外の美術館等で展覧会に参加。2017年VACANT(東京) で開催された個展「帝国は今日も歌う」は社会と個人の心理に深く切り込む大胆な映像で大きな反響をよんだ。
●遠藤水城(えんどう みずき) /キュレーター
東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)エグゼクティブディレクター、Vincom Center for Contemporary Art[VCCA](ベトナム) 芸術監督。これまで企画した展覧会に「希望の原理」(国東半島芸術祭、2014)、「裏声で歌へ」(栃木県小山市立車屋美術館、2017) など。
●あかたちかこ/思春期アドバイザー、児童自立支援施設専門講師
専門は対人援助学と性教育。児童自立支援施設や大学、全国の中学校、高校で教えている。共著書に『たたかうLGBT&アート』『セックスワーク・スタディーズ』。Woman’s Diary元編集長。
●山田創平(やまだ そうへい)/社会学者、京都精華大学人文学部准教授
厚生労働省・外務省所管の研究機関などを経て現職。 編著書に『たたかうLGBT&アート』、共著書に『セックスワーク・スタディーズ』等。NPO法人アートNPOリンク理事、HAPS実行委員、企業メセナ協議会東日本大震災芸術・文化による復興支援ファンド選考委員。
●住友文彦(すみとも ふみひこ)/アーツ前橋館長、東京藝術大学大学院准教授
主な企画に「Possible Futures: アート&テクノロジー過去と未来」展 (ICC、2005)、「川俣正[通路]」(東京都現代美術館、2008)、ヨコハマ国際映像祭2009など。あいちトリエンナーレ2013、メディア・シティ・ソウル2010 (ソウル市美術館)共同キュレーター。
●今井朋(いまい とも)/アーツ前橋学芸員
主な企画に「ヒツクリコ ガツクリコ ことばの生まれる場所」(2017) など。「表現の森 協働としてのアート」展(2016) は、同展終了後も長期的なプログラムとして、アートが福祉や教育、医療の現場に入っていくことでどのような化学変化が起こりうるか考察する。
●石倉敏明(いしくら としあき)/人類学者、秋田公立美術大学准教授
1997年よりダージリン、シッキム、カトマンドゥ、東北日本各地で聖者(生き神) や山岳信仰、「山の神」神話調査をおこなう。環太平洋の比較神話学に基づき、神話集、論考等を発表。多摩美術大学芸術人類学研究所助手を経て、現職。共著に「野生めぐり」「人と動物の人類学」等。
●木ノ戸昌幸(きのと まさゆき)/NPO法人スウィング理事長・フリーペーパー『Swinging』編集長
1977年愛媛県に生まれる。立命館大学文学部日本文学専攻卒業。引きこもり支援NPO、演劇、祇園のスナック、遺跡発掘・福祉施設勤務等の活動・職を経て、2006年にNPO法人スウィングを設立。人の「働き」を「人や社会に働きかけること」と定義し、狭い「障がい福祉」の枠を超えた創造的実践を展開中。著書に『まともがゆれる ―常識をやめる「スウィング」の実験』(朝日出版社)など。
●滝沢達史(たきざわ たつし)/美術家
山に登る、子どもと遊ぶ、快適を求む美術家。教育や社会問題にアートの手法で関わりながら、時代を面白く越える表現について探求している。子どもの学び場「ホハル」代表。WEB=www.takizawatatsushi.com
●伊藤まゆみ(いとう まゆみ)/京都精華大学 全学研究機構 展示コミュニケーションセンター特任講師
2005〜2014年、神戸アートビレッジセンター(KAVC)の美術プロデューサー、2015〜2019年、トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)[公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館]に企画調整係長として勤務し、若手芸術家育成事業に携わる。2019年より現職。
●三輪晃義(みわ あきよし)/弁護士
大阪弁護士会所属。大阪労働者弁護団、連合大阪法曹団、LGBT支援法律家ネットワーク、日弁連LGBTの権利に関するPT、Cafe LGBT+等に所属し、労働環境やセクシュアルマイノリティ等の人権問題に取り組んでいる。
●山本麻友美(やまもと まゆみ)/京都芸術センター チーフ・プログラム・ディレクター
ジャンルにとらわれない事業や取組を積極的に行い、新しい創造活動を支援する京都芸術センターの事業全体を統括する。近年の主な担当事業に東アジア文化都市2017京都「アジア回廊 現代美術展」、KYOTO EXPERIMENT2018「山城知佳子〈土の人〉」展等。
●吉澤弥生(よしざわ やよい)/共立女子大学文芸学部教授・NPO法人地域文化に関する情報とプロジェクト[recip]理事・NPO法人アートNPOリンク理事
専門は芸術社会学。『芸術と労働』(水声社)に「アートマネジメントと、非物質的労働の価値」を寄稿。近著に「芸術生産の現場から考える―労働・キャリア・マネジメント」(藤井光との対談)『社会の芸術/芸術という社会』(フィルムアート社)他。
●渡邉朋也(わたなべ ともや)/YCAMインターラボ アーキビスト
多摩美術大学美術学部情報デザイン学科卒業後、同大研究室助手を経て、2007年にリニューアルオープンした同大学図書館のコンセプトメイキングから携わり、オープン後は館内に併設されたオープンスペースの運用などを担当。2010年、山口情報芸術センター[YCAM]のスタッフに着任。展覧会や公演など主催事業全般のドキュメンテーションのほか、過去に同センターが発表した作品の修復/保存、ポータルサイトやガイドブックなどの同センターの情報発信プラットフォームのプロデュース/ディレクションを担当。これと並行し、美術家としてコンピュータやインターネットといったメディアテクノロジーをベースに、インスタレーション、映像作品、ダジャレ、エッセイなどを制作する。著書に「SEIKO MIKAMI:三上晴子 記憶と記録」(2019年/NTT出版/馬定延との共著)がある。
●ほんまなほ/大阪大学COデザインセンター准教授・ガムラン奏者
臨床哲学を専門に、哲学プラクティス、対話、こどもの哲学、フェミニズム哲学、多様なひとびとが参加する身体・音楽表現についての教育研究を行う。著書『ドキュメント臨床哲学』、『哲学カフェのつくりかた』『こどものてつがく』(共編著)ほか、『アートミーツケア叢書』監修。
●小山田徹(こやまだ とおる)/美術家・京都市立芸術大学教授
1961年鹿児島県に生まれる。京都市立芸術大学日本画科卒業。84年、大学在学中に友人たちとパフォーマンスグループ「ダムタイプ」を結成。ダムタイプの活動と並行して90年から、さまざまな共有空間の開発を始め、コミュニティセンター「アートスケープ」「ウィークエンドカフェ」などの企画をおこなうほか、コミュニティカフェである「Bazaar Cafe」の立ち上げに参加。
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会場アクセス
・キャンパスプラザ京都(京都市下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939)地下鉄烏丸線、近鉄京都線、JR各線「京都」駅下車徒歩5分。
・京都精華大学(京都市左京区岩倉木野町137)
地下鉄烏丸線「国際会館」駅よりスクールバスに乗車(所要時間約10分)。
叡山電鉄鞍馬線「京都精華大前」駅下車すぐ。
・京都芸術センター(京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)
近鉄京都線、JR各線「京都」駅から地下鉄烏丸線に乗り換え「四条」駅下車、徒歩5分。
阪急京都線「烏丸」駅下車、徒歩5分。
京阪本線「三条」駅から地下鉄東西線に乗り換え「烏丸御池」駅下車、徒歩10分。
京都市営バス「四条烏丸」下車、徒歩5分(3、5、201、203、207 系統など)。