Performing under pressure in the museum of broken objects. 27x20x3 inches Museum glass, broken terracotta horse and wooden stand/ 2018
Photo credits- Anil Rane

GA TALK 011 シュレヤス・カルレ「いまここにいること、そしてどこにもいないこと」
「“正しい”音の中にあって、オーケストラあるいはひとつの楽曲における“間違った”音は即座に見つけることが可能である。正しく演奏された楽譜は調和のあるシンフォニーを形成し、一方間違った音はざわめきのあるサウンドをつくる。音の間違いは、オーケストラ用に編成された曲にとっては主観的なものである(それは“間違い”を強調する)。音それ自体はひとつのサウンドである。つまり、サウンドは、もしひとりの孤独のうちに聞かれるならば、それは聴き手とつながることができるのである。しかし、聴き手は本当に聴いているのだろうか?この問いは“音楽は本当に演奏されているのか?”という疑問と同様に真である。私たちはみな、与えることと受けることが単なるアクションと化した主張の空白の中に生きている。思慮に欠ける段階というのは心のスピリチュアルなサインではなく、むしろ健康な眼を覆ってしまう仮想的な盲目である。」
(シュレヤス・カルレ)
今回のグローバル・アート・トークでは、経済発展目覚ましいインドを拠点に活躍するシュレヤス・カルレ氏と彼自身のアーティストとしての立ち位置を考えます。「制作上のマンネリズムの中で微細なシフト(ズレ)を作り出している内部の諸力」についてふまえながら、「アーティストやアルティザンそしてデザイナーの間で古くから議論されてきた論点」を取り上げます。さらにカルレ氏は、これらに働きかける「“市場”経済や、主役になることの不必要性、そして謙虚であることは決して撤退を意味しないということ」などについても語ります。
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概要

日時:2018年7月10日(火) 19:00-20:30
会場:京都造形芸術大学人間館 NA207教室
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/about/access/
料金:無料(要申込み) 
定員:100名
※英日逐次通訳あり
主催:京都造形芸術大学大学院、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)

講師プロフィール

シュレヤス・カルレ
(ヴィジュアル・プラクティショナー/CONA財団・KATCONA Design Cell共同ディレクター)
北ボンベイに拠点を置く非営利団体CONA財団の共同ディレクターを務める。バンドラのL.S.ラヘジャ美術学校でファイン・アートの学位を取得、ムンバイ大学でインド美学の修士課程を修了、その後バ-ロダのマハラジャ・サヤジラオ大学でヴィジュアル・アートの修士号を取得。現在、北インドの地方部にてサイト・スペシフィック・レジデンシー・プログラムSandarbhのディレクターも兼任する。あいちトリエンナーレ「虹のキャラヴァンサライ」(2016)、ニューヨークのニュー・ミュージアム・ビエンナーレ「Surround Audience」(2015)、インドの第一回コチ・ムジリス・ビエンナーレ(2012)などの国際展に参加。2018年にはボンベイのProject 88で個展「Unnecessary alcove」を開催。

申込み・お問合せ

申込み・問い合わせ先:GLOBAL_ARTTALK@office.kyoto-art.ac.jp
*お申込みの際には、①氏名、②人数、③連絡先電話番号あるいはメールアドレス、④ご職業(学生の場合は大学名)を上記アドレスまでお送りください。京都造形芸術大学の学生の方は学籍番号も添えてください。

GLOBAL ART TALK By KUAD x HAPS 

<現代アートで京都と世界をつなぐ>
現代アートを取り巻く環境は、この数十年で飛躍的に複雑化し、そのなかでアーティストとしてグローバルに活躍する道を模索することは容易ではありません。世界各地で同時多発的に生産される芸術の概況を把握することは、もはや不可能といって良いでしょう。とりわけ、経済成長と近代化の進む近隣アジア諸国では、新しい美術館の創設やアートフェア、国際展の隆盛など発表の機会も拡大し、世界からこの地域に向けられた注目も高まっていますが、すでにアートを取り巻くインスティテューションとしては整備を終えた感もある日本では、むしろ制度化の再考、アーティストの社会的役割、グローバルなネットワーク構築などが改めて問われているといえるでしょう。
 京都では、多くの芸術系大学から毎年新しいアーティストが輩出されていますが、日本の伝統文化の中心地でもある街から、このように複雑化した現代アートの世界と、今日、どのようなつながりを見出すことができるのでしょうか?京都造形芸術大学とHAPS共催による「グローバル・アート・トーク」では、世界各地で活躍するアーティスト、キュレーター、コレクター、研究者、ギャラリストなどを招聘し、対話を積み重ねていくことで、世界を実感し、理解を深めていきたいと考えています。
*GLOBAL ART TALKは、若手芸術家を応援する東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の「キュレーター招聘プログラム」の一環です。
*京都造形芸術大学では、京都を拠点に現代アート界でグローバルな活躍をめざすアーティストの育成機関を将来に見据えています。

参考作品

 The vertical side of the horizontal
67x31x1 inch Found sand-stone with vertical cuts/ 2018 Photo credits- Anil Rane